"Bliss" Lauren Sevian

1_568.jpg
この盤は、Alexa Tarantinoの文章(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64832142.html)を書いているときに、彼女のディスコを調べていて見つけた盤。
メンツを眺めて、ベースとドラムの名前で買いを決めたもの。
なんで、リーダー含め他のメンツはあまり気に留めていなかったのですが、アルトサックスは前述の通りの女性奏者、ピアノのRobert Rodriguezは、邦人女性ベーシスト江野口美穂のリーダー作等で聴いている人でした。
  "A Piece Of My Life"(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a59785002.html)
リーダーのLauren Sevianも女性奏者です。

そんなメンツは以下の通り。
Lauren Sevian(Bs)、Alexa Tarantino(As)、Robert Rodriguez(P)、Christian McBride(B)、E.J. Strickland(Ds)


演奏曲は、2曲めがAlexa Tarantinoのオリジナルで、残りはLauren Sevianのオリジナルという陣容
01. Triple Water
02. Square One
03. Bliss
04. Bluesishness
05. Goldies Chance
06. Miss Lady
07. Lamb And Bunny
08. In The Loop
09. Evergreen
10. Minimal Moves


なんだかんだ聴きどころは、リズムの2人ということになるが、いずれの曲でも、真っ先に耳に入ったくるのが、Christian McBrideの強さを感じる低音の音色の凄みと、流暢に揺るぎないソロで、これはもう名手の一打は何ものにも代え難いものがあるという理解。
E.J. Stricklandのドラミングは、こういうオーソドックスなスタイルでありながら現代的な雰囲気を出すには、見事なもってこいな人材だとつくづく思う。

冒頭曲で、テーマをバリトンサックス1本のブローで押し通すところが硬派な気配を醸す。(実は後述の通り、すべての曲が2管ではない)
アルトが入ってくる曲は、数曲(たぶん、速度速めの数曲程度)で、そこでは2管のアンサンブルで軽くアレンジしたテーマを聴かせる。
この編成を変えた曲を数曲入れてくるのは、曲が速いがための息継ぎ要員という側面もありそうだが、
アルトの演奏スタイル(後述)に引っ張られた変化が出てきていて、それが良いアクセントになっており、その効果も担っているはず。
バッキングで良い味を出しているのがRobert Rodriguezのピアノで、ゴリっとした肌触りの実にハードバップなピアノを聴かせ、Christian McBrideの強靭なベースと良いコンビネーションを見せる。
リーダーのバリトンサックスのほうが、ノンビブラートでゴリゴリしたサウンドで押し通すような演奏で、これだけだとちょっとハードなイメージに終始する。

通して聴いていると、9曲めのような低音を効かせたスローな曲が、実は一番似合っているのかも、とも感じられる。
アルトのAlexa Tarantinoは、Art Pepperばりに軽やかによく歌うようなスタイルで、バリトンサックスのハードなイメージと好対照をなしている。

曲としては、ハードバップな4ビート曲を中心としたものに、バラードを挟んだような構成。
4ビート曲が、速度早めのものが多いのが気分高揚によく効いている。
ベストは7曲めでしょう。

この記事へのコメント