"From This Place" Pat Metheny

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Pat Methenyの正式リリースのアルバムとしては、2016年の"Unity Sessions"(https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a63790087.html )以来ということになります。
このあと、自blogを眺めていると、boot作を5~6枚紹介しているという、どれだけPat Methenyの新しいサウンドを待ち焦がれていたかという(笑)
2016年の作品のあと、今回のメンツ(4人)で、Pat Metheny Quartetを名乗っての活動が始まり、それがこのアルバムにつながっているという認識で良いと思う。
そんなメンツのサウンドも、実は聴いていたりして..。

Pat Metheny Quartetの4人に、ゲストとオーケストラがメンツということになります。
Pat Metheny(G)、Linda May Han Oh(B)、Gwilym Simcock(P)、Antonio Sanchez(Ds)
Meshell Ndegeocello(Vo)、Gregoire Maret(Harmonica)、Luis Conte(Per)
The Hollywood Studio Symphony

演奏曲は以下の通りの10曲。
01 America Undefined
02 Wide and Far
03 You Are
04 Same River
05 Pathmaker
06 The Past in Us
07 Everything Explained
08 From This Place
09 Sixty-Six
10 Love May Take Awhile

多かれ少なかれ、これまでの作品のサウンドに溢れているというのが、これまで耳タコにPat Methenyを聴いてきた輩の第一印象。
1曲めの11分過ぎの、警笛を模した音からの疾走感あるサウンドはLast Train Homeのオマージュで、蒸気機関車を重厚な貨物列車に置き換えているような。
2曲め冒頭の音使いは、Proofを彷彿とさせるし、その直後の手拍子を2回する使い方もどこかで聴いた記憶がある。
5曲めの雰囲気も、On Her Wayとかちょっと彷彿とさせる作風と言えそう。
9曲めのスネアにブラシのパターンは、もろにLast Train Homeでした。
と、書き出しているといろいろ書き出せそうなくらいいたるところで、これまでのpat methenyの音楽として聴いていた、フレーズ、音色、ハーモニー、アレンジ、一瞬の雰囲気等々がいろいろ詰まっているような印象。
つらつらと聴いていれば、聴き知ったサウンドに反応するのは不思議でもなく、それを持ってこれまでの音楽の焼き直しみたいな印象で終わってしまうのかもしれないが。
そんな感覚を超えたところから、素晴らしい音世界が見えてくるわけでありまして、

細かく分析的に聴けば、弦楽器を全面的に前面には出さない程度に器用する塩梅、
新しいサウンドとして起用する場面と、古の with strings然と起用する場面とを使い分けてるのか?とか、管楽器はほとんど前に出てこなくて、シンセで代用しても無問題ではと思ってみたり。
6曲めのハーモニカ、8曲めのボーカルも、中後半に配することで良いアクセントになっていたり。
Pat Metheny のギターと、Gwilym Simcockのピアノが折り重なるダイナミックで壮大でエキサイティングなサウンドの数々。
そんなこんなも含めて、Pat Metheny Groupで、Pedro Aznar, Armando Marcal, Mark Ledford, Nando Lauriaらと、Lyle Maysのシンセが担っていた部分をオーケストラという生楽器のサウンドを迎えることで、音の深みと広がりが出ていると感じられるが、同時にPat Metheny Groupのサウンドとの違和感をあまり感じていないというのもあるのではないかと。。

Pat Metheny のサウンドを聴いている安心感と、新しいサウンドを聴くワクワク感とが良い塩梅に混ざり合った状態で一気に聴いてしまう作品。
1枚通して聴くことで見えてくる音世界があるので、この1曲としたくない気もするが..。

ベストは2曲めにしましょう。

"From This Place" Pat Metheny (https://www.amazon.co.jp/dp/B081QGCFK9/ )

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