"Project-k" Jim Snidero
Jim Snideroのアルバムを買うのは、これが2枚め。
"Main Street" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a63134996.html )
実は前作もそうだったが、本作も御多聞に漏れずメンツ買いであります。
実際のところ、Jim Snideroのサックス自体は、個人的にそう引っかかる存在ではないんですが、連れてきてるメンツが個人的ツボなので、気になってしまうわけであります。
そうはいっても、すべてのリーダー作をチェックしてメンツを確認しているわけでもないのですが..。
本作は、Linda May Han Oh, Rudy Roystonの両名に、さらにDave Douglas, Orrin Evansという布陣で、個人的にはかなりそそられるところ。
アルバムタイトルの"Project-K"の"K"はKoreaのことで韓国プロジェクトのアルバムとのこと。
で、韓国の伝統楽器と思われるGayageum(伽耶琴)がメンバーに入っています。
ジャケの内側に、「Dedicated to my wife Myoung-Shin」という語があったので、Jim Snideroの奥さんが韓国人で、それが故に韓国をテーマにしたアルバムを制作したということのようです。
メンツは
Jim Snidero(As)、Dave Douglas(Tp)、Orrin Evans(P)、Linda May Han Oh(B)、Rudy Royston(Ds)、Do Yeon Kim(Gayageum)
演奏曲は、5曲めと8曲め(Traditional)を除いてJim Snideroのオリジナル。
01 Han
02 DMZ
03 Jeju
04 Mother
05 Jenga
06 Seoulful
07 Goofy
08 Han O Bak Nyun
冒頭、鐘がカーンと打ち鳴らされたところから演奏スタート。
Gayageumという韓国の楽器が多く使われているが、ハープとか琴に近い張りの強い弦楽器といった音色で、これが出てくると結構なサウンド支配力を発揮する。
もっとも普段聴き慣れない音色が故に耳を持ってかれてる部分もありそう。
そう表だって出てき続ける感じではないが、役割としては、第3のフロント楽器として前面での演奏を聴かせる場面と、ピアノに近い伴奏に近いような演奏をしている場面とを担っているか。
曲調は、大半が普通のジャズの語法に則ったもので、2曲めは8ビートのノリの良い曲にGayageumが冴え冴えしい。
4曲めがいちばんスピリチュアルな曲調でとっつきが悪いか。
そういう曲での特殊楽器は一段とアヴァンギャルドな感じが出てきておもしろい。
他のメンツでは、Jim Snideroのいぶし銀的な演奏と、Dave Douglasと絡んでの掛け合いとアンサンブルが、盤石なフロントを担っていて、これが演奏の主要部分になるのは、間違いないところ。
Orrin EvansのPianoは、Do Yeon KimのGayageumと重ならないよう出番を分かち合っている感じなので、登場頻度は若干少なめな印象だが、しっかりソロも聴かせ存在感を見せる。
Rudy RoystonのRudy Roystonらしいアグレッシブなドラムを多くの曲で叩いているが、そうやかましい感じになっていないのは、曲調が故なのか、それとも巧さが際立ってきたか。
Linda May Han Ohは、あまり派手な立ち回りをする感じではないが、盤石な演奏を聴かせる。
メンツに名手が揃ってはいるが、異色楽器が入っていながら演奏がまとまっているのは、おそらくベースがしっかり下支えをしているからなんだと思う。
Gayageumの特徴的な音が、ときに全体に溶け込み、ときに異色な音色で存在感を誇示してくるが、それ以上に冒頭以外でも打ち鳴らされる鐘の音が、かなりのインパクトを与えてくるなぁ。
ベストは、6曲めにしましょう。
"Project-k" Jim Snidero (https://www.amazon.co.jp/dp/B082PQML3B/ )
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