Henri Texier "Chance"
Henri Texierのリーダー作を聴くのは、自blogを漁った範疇では、これが初めてのようです。
自分でも、そうかぁと思ってしまったんですが、参加作は、Marc Berthoumieuxというアコーディオン奏者のリーダー作 "In Other Words" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a60936030.html ) で聴いていました。でもこれだけ..
この作品は、Henri Texierの息子であるSebastien Texierを大きくフィーチャして作られたと解説には書いてありましたが、フロントはそのSebastien TexierにVincent Le Quangが入ってます。
このコンセプトと曲の提供なしってのをみると、Vincent Le QuangはSebastien Texieのサポート役として入ったと言えそうですねぇ..。
他のメンツは、ギターのManu CodjiaはMoutin Factory Quintetのメンバーで、近作は
"Mythical River" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/471318268.html )
ドラムのGautier Garrigueは、最近活動拠点をフランスに移したSeamus Blakeのアルバムに名前がありました。
"Guardians Of The Heart Machine" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/470987723.html )
Vincent Le Quangはこれが初聴き。
というメンツは、
Henri Texier(B)、Sebastien Texie(Sax,Cl)、Vincent Le Quang(Ts)、Manu Codjia(G)、Gautier Garrigue(Ds)
演奏曲は、Henri Texierが4曲と、Sebastien Texier, Manu Codjia, Gautier Garrigue, Vincent Le Quangがそれぞれ1曲というメンバーオリジナルだけで構成。
1. Cinecitta
2. Jungle Jig
3. Simone Et Robert
4. Pina B.
5. Laniakea
6. Le Meme Fleuve
7. Standing Horse
8. Chance
冒頭、ベースのイントロにクラリネットが絡んでくる冒頭のテーマ、フランスのマヌーシュジャズといった趣の曲調が良い雰囲気を作っている。
後半で出てくるManu Codjiaの官能のギターソロが圧巻。一気に現代調の演奏に変化する。
以降、あまりフランスを意識した楽曲ということはなく、4、8ビートを中心とした選曲が並ぶ。
Sebastien Texie, Vincent Le QuangとManu Codjiaがフロントを担うことになるが、Sebastien Texieのクラリネットらしい木質な音色がVincent Le Quangのサックスとともに牧歌的と言えそうなサウンドを奏でるのに対して、Manu Codjiaの現代的アプローチのソロが好対照をなしている。
Manu Codjiaが入ることでコンテンポラリ度合いはかなり上がっている印象。
しかし、Manu Codjiaはソロになると(個人的嗜好に拠るとは思うが、)俄然輝きを増すと言いたい圧倒的なソロを聴かせる。この盤はこれを聴くべき作品と言っても過言ではない。
3曲め、5曲めがスローテンポの曲で、3曲めが、Simone Weil, Robert Badinter(いずれも政治家らしい)のトリビュートと副題がついた曲。
5曲めの重さもトリビュートな意味がありそうだが、タイトルのLaniakeaって銀河団の名前だそうで、壮大過ぎる壮大さをテーマにしている..。
7曲めがHenri Texierによるベースソロで、力強いタッチのベースサウンドをガッツリ楽しむことができる。
そして8曲め、迫力のあるドラムによるビートが鳴り響くなか、ゆったりとした旋律のテーマをサックスが奏でる。続くギターのソロの朗々と鳴り響く高音が圧巻、さらにドラムソロになだれ込むがこれまた素晴らしい。
ベストは、8曲めってことになるんでしょう。
Henri Texier "Chance" (https://www.amazon.com/dp/B0842VVDYV/ )
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