"Waiting" Elchin Shirinov Trio

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Elchin Shirinovという中東(アゼルバイジャンらしい)系出身のピアニストの初リーダー作で、自主制作手売りだけだったものを日本でだけCD化したものらしい。
Elchin Shirinovは、Avishai Cohenの2019年のアルバム "Arvoles" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/468529997.html ) に入っていたピアニストで、宣伝文句には、Brad Mehldauも絶賛なんて書いてあったが、その実力、いかがなものか?というのがおもな購入動機。

メンツは以下の3人ですが、ベーシスト、ドラマーはこれが初聴きのようです。
Elchin Shirinov(P)、Andrea Di Biase(B)、Dave Hamblett(Ds)

演奏曲は、Elchin Shirinovのオリジナルが3曲(2,4,6)と、アゼルバイジャン伝統曲(1,3)とその他2曲という構成
1.Sara Gellin
2.Waiting
3.Durna
4.Missing
5.Waltz from Seven Beauties ballet
6.Muse
7.O Olmasin Bu Olsun

1、3、6曲めが、いかにもな中東フレーズを前面に出してきた、アゼルバイジャン出身を誇示したような曲。
2曲めが、Robert Glasperを意識したような、押し出すようなフレーズとでも言うのか、そんなサウンドを駆使したより新しいサウンドを志向したような曲。
4曲めのゆったりとしたテンポで耽美な響きがしっとりと美しいサウンドが、アルバムの真ん中に佇んでいる。
5曲めがそこはかとなく双方が融合したような曲調で、耽美でありながらしっとりとなり過ぎないような展開でもって中東系フレーズをスパイス的に効かせながら奏でていく。
7曲めがクラシックな気配を感じさせながらリリカルな感じに映える。

Elchin Shirinovのピアノは、美麗系な演奏を中心に据えながら、イスラエル系フレーズを駆使して出自を誇示しながらも、そこに現代のフレーバーをピピッと効かせたような演奏。
上述において中東系と言ってない曲でも、ソロの端々にそれっぽいフレーズが見え隠れする。
Dave Hamblettのドラムも、叩き過ぎないところで良い塩梅に演奏を鼓舞していて好印象。
Andrea Di Biaseのベースは、しっかりとした下支えをしながらもメロディアスなフレーズで、演奏に彩りを加えているのがわかる。
全体の雰囲気を個性的でありながら統一感を持って聴かせる一体感のあるピアノトリオ演奏を楽しむことができる。

ベストは、5曲めにしましょう。

"Waiting" Elchin Shirinov Trio (https://www.amazon.co.jp/dp/B0859T6B2M/ )

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