"From Here To Here" David Gilmore
Criss Crossレーベルから2019年10月のリリースが告知されていた作品。
この盤がリリースされる直前に、Criss CrossレーベルのレーベルオーナーであるGerry Teekensが急逝し、リリース日を過ぎても発売の気配なく。
このままお蔵入り、レーベルも閉鎖かと危惧されたが、約8か月経過したところで、この最後のアルバムのリリースが告知されたもの。
David Gilmoreのリーダー作としては、2017年の"Transitions"(https://www.amazon.co.jp/dp/B01NBJ4YC0/ )以来ということになるが、個人的にcriss crossレーベルは意図的に避けていた部分もあるので、自blogでの紹介は、2016年の"Energies of Change"(https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a63665625.html )以来ということになります。
メンツは、ピアノトリオ+ギターというカルテット。
David Gilmoreの過去作を眺めていると、登場頻度の高い面々が揃っていて、これまで管の入らないユニットでのアルバムはなさそうなので、そういう意味でも期待感のあるところ。
個人的には特にLuis Perdomo, E.J. Stricklandが入っているところが期待感が高まる。
David Gilmore(G)、Luis Perdomo(P)、Brad Jones(B)、E.J. Strickland(Ds)
演奏曲は、David Gilmoreのオリジナルが8曲に、Sam Rivers, Bill Evansで全部で10曲。
01. Focus Pocus
02. Cyclic Episode
03. Metaverse
04. Child Of Time
05. When And Then
06. Innerlude
07. Interplay
08. The Long Game
09. Free Radicals
10.Libation
アグレッシブに強めに叩き出される4ビート、8ビートのリズムに、テクニカルでありながら程よくポップなテーマを乗せたような楽曲が多めの、コンテンポラリ系サウンド。
そんなテクニカルなテーマをギターが奏でたり、ピアノが奏でたり、はたまたユニゾンで聴かせたりと、そんな所作が格好良いというのが第一印象。
4曲めがアコギを使った美旋律系の曲。
6曲めがjohn abercrombieの”Getting There”(https://www.amazon.co.jp/dp/B0000260H9/)ってアルバムのChanceって曲でもギターシンセ(自分の刷り込み)のようなピアノが映える曲。
7曲めにBill Evansの渋い曲を選んでくるのがまた一興。テーマをピアノとギターの連携で聴かせた後、ベースソロからのソロまわしなんてのも良い塩梅。
David Gilmoreのギターは、全体にきれいなサウンドを奏でることに重きを置いているような印象。
曲によってはディストーションをかけたり、少し汚れめの音を出す場面もあるが、あまり音色で派手さを演出するような場面は出てこない。
Luis Perdomo もバッキングでは、あまり目立たないよう控えめな演奏に徹するが、ソロでは、美旋律をほどよく交えながら、快調に右手での速いフレーズを駆使したソロを聴かせる。
ここでのE.J. Stricklandは、Rudy Roystonばりに音数多くいろんなものをぶちまけたようなドラミングで、このドラムを基本においたうえで全体を聴いていると音楽がより複雑さを増すような印象で、聴き応えは上がってくる印象。
逆に、ここをあまり意識しないで聴いていると、全体がさらっと聴けるのかもしれない。
このドラミングの変態さ具合が実は一番おもしろいのかもしれない..。
ベストは9曲め
"From Here To Here" David Gilmore (https://www.amazon.co.jp/dp/B07W47GFQL/ )
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