"Budapest Concert" Keith Jarrett

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最近リリースされるKeith Jarrettの作品は、ライブを含む新しい音源を出してくるのでは 無く過去に録り貯めた音源を切り売りしているような状況で、当人の進化(加齢)、時代の流れに応じた表現の変化を求めるというよりは、当人自身の過去のそのときどきのパフォーマンスを楽しむようなフェーズになってきている。
もっとも、コンサート自体は2017年2月のNYでのソロコンサート以来行っておらず、さらに最近の発表で2018年に脳卒中を起こし麻痺が残っているとのことで再起が危ぶまれている状況(wiki調べ)では、それでも未発表のKeith Jarrettのサウンドが聴けることがうれしいというのも充分理解できる。
個人的には、その時代の新しい音楽を聴くほうにいろいろを投入したいので、最近のKeith Jarrettの作品を全部は買って聴いてはいないはずです。
本作購入の動機は、麻痺からの回帰の願いを込めてということもあります。

本作は、2016年7月に行われたソロコンサートをライブ収録したもので、これまで発表されている作品では、一番最近の演奏ということになるようです。
ちなみに直近で紹介しているソロ作は2017年に紹介した、“A Multitude of Angels” (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64053255.html )で、これは1996年のライブ音源でありました。

メンツ、ソロです。
Keith Jarrett(P)

演奏曲の基本はインプロビゼーションです。
Disc1
01 Part I
02 Part II
03 Part III
04 Part IV
Disc2
01 Part V
02 Part VI
03 Part VII
04 Part VIII
05 Part IX
06 Part X
07 Part XI
08 Part XII - Blues
09 It's A Lonesome Old Town
10 Answer Me

ちょっと不穏な気配を感じさせるような、美しいんだけど、重苦しさのようなものも見え隠れするような曲調からはじまる前半。
うなり声が少なめで、ノっているというよりは、自身の内側に意識を持ってってるようなそんな感じすら受けるようなフレーズを紡いでいく。
ライブなので曲の終わりに拍手が入るが、観客が神経質にピアノの音が消え入るのを見極めてからそっと拍手を送るような場面が多いのが前半の印象。
後半は、タイミングによっては、かけ声がかかったり口笛鳴らしたりと、もうちょっとラフな歓声が聞けるところもでてくるか。
たぶん、ほとんどコンサートでの演奏順に曲が並んでいるんだと思うが、徐々に観衆のテンションがあがり興奮していっているような様が感じ取れるような展開。
そんな観客に呼応するように、後半のほうがより親しみやすい曲調のものに変化して、多少はリラックスして聴けるような雰囲気にはなってきていると思う。
ただし、往時のアメリカンなノリでの外向きの演奏って感じは希薄で、内向きな傾向がある前提での親しみやすい曲調なのかなという感じはしないでもない。

ベストは、Disk2-2曲めにします。

"Budapest Concert" Keith Jarrett (https://www.amazon.co.jp/dp/B08HNC6XQZ/ )

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