"Live At Ronnie Scott's" Bill Evans

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Bill EvansとEddie Gomez、Jack DeJohnetteとのトリオは、ながらく超有名な1枚だけが存在している状況でした。
これが録音されたのは1968年6月15日。
2016年に、そのわずか5日後にスタジオ録音された音源が先日発掘リリースされたのが下記アルバム。
これまで長らくの間この3人での演奏はモントルーライブの1枚だけで記録されていたとされていたので、ものすごく驚愕しましたが、さらにその2日後のオランダでのコンサートの音源が出てきたのが翌2017年。
1968年6月22日 オランダのヒルフェルスムで行われたもので、ラジオ用音源が元とのこと。
短い活動期間だったこのトリオで、Jack DeJohnette, Eddie Gomezとも、インタビューでは「Ronnie Scott'sでの演奏が一番よかった」という発言をしていたそうで、ただその音源は残っていないとも言われていました。

んが、その音源がリリースされたのが本作。
残っていないといわれていた音源が出てくることにたまげるが、まだあるんじゃないかと期待してしまうくらい。

メンツは、モントルーの3人
Bill Evans(P)、Eddie Gomez(B)、Jack DeJohnette(Ds)

演奏曲は、モントルーで聴きなれた曲を含む2枚分たっぷりと。。
Disc1
01 A Sleeping Bee
02 You're Gonna Hear From Me
03 Yesterdays
04 Turn Out The Stars
05 My Man's Gone Now
06 Emily - Take 1
07 Spring Is Here
08 Embraceable You
09 For Heaven's Sake
10 Someday My Prince Will Come
Disc2
01 Quiet Now
02 Round Midnight
03 Stella By Starlight
04 Alfie
05 You're Gonna Hear From Me
06 Very Early
07 Emily - Take 2
08 Waltz For Debby
09 Autumn Leaves
10 Nardis

まず一聴、Bootleg同等の音の悪さに驚く。
Resonanceレーベルのこれまで聴いてきた作品は、正規リリースのクオリティとは言わないが、それなりの音質は維持していたという印象があったのでちょっと驚いた。
バランス的にもピアノよりもベースにシンバル、はては観客の拍手が一番マイクに近いところにあるんじゃないかという、こんなところもBootlegクオリティと言いたいところ。
(もっとも個人的にはBootlegも分け隔てなく聴いているので、あまり大きな問題ではない)
それよりもなによりも、音源が残っていたことに感謝すべきではあります。
演奏も、Bill Evansのピアノトリオという意味では、良くも悪くも端正な(良く言えば「孤高の」)クールでリリシズムの最たるもののような演奏を期待したいところで。
当初唯一のリリースであったMontreauxではEddie Gomezのベースがやかましいと感じるくらいの端正な演奏を聴かせていたが、ここでは、そのEddie Gomezのベースに引っ張られるように全体がアグレッシブな演奏を繰り広げており、少しテンポも上げて熱気をはらんだ演奏に様変わりしている。
曲のイントロとかのアレンジはこれまで聴いてきた演奏を踏襲してはいるが、ここで聴かれる演奏はMontreauxを聴いている身にはちょっと驚くくらいにそういう意味では音の悪さもワイルドな印象を形成する上では効果的なのかもしれない。
演奏曲も、Bill Evansトリオで聴きたい曲がずらりと並んでいるような様相で、それがまた素晴らしいところ。

このトリオの短い活動期間において、演奏者自身が一番ノッていた時の演奏と言っているものが、記録として音源が残っているということがそもそも奇跡的なことなので、音質がどうの、バランスがどうのと言っている次元のものではない。ということがこの音源のすべて

ベストは、Disc2の10曲め、一番最後のNardisにしましょう。

"Live At Ronnie Scott's" Bill Evans (https://www.amazon.co.jp/dp/B08KHJ8PC2/ )

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