"酒屋が閉まる前に" AAS

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立花秀輝のユニットであるAASの片山広明追悼盤ってのが、久々に中古漁りをしていたときにみつけて買い込んできたもの。
立花秀輝というと、個人的には 渋さ知らズ をすぐ想起させるのですが、近作で紹介しているのは中央線ジャズ系の作品って感じの下記2作でありました。

メンツは、渋さのリズムと言ったらという、山口コーイチ, 磯部潤の両名にカイドーユタカが加わったカルテット。
カイドーユタカは渋さ知らズで演奏したことはあるのだろうか?
立花秀輝(As)、山口コーイチ(P)、カイドーユタカ(B)、磯部潤(Ds)

演奏曲はすべて立花のオリジナル。
01 プロトタイプ
02 へビィ・スネーク(重い蛇)
03 アリガトーネット
04 秋風
05 アルトサックスにおける特殊奏法によるデー・フラット・ブルースの為の試み。令和元年増強改訂版。
06 凪の音
07 水と空の境界
08 ブロウ・アンティル・ダイ
09 天国の居酒屋で待ってるよ

立花が快調に朗々とブロー、フリークトーンをかます、山口の微妙に変なズレを感じさせるピアノ、これらが独特の雰囲気を醸しだしている。
前半2曲が8ビートのロックな強めのビートのノリの良い曲。
3曲めで4ビートに転じるがそれまでの曲と同じ熱気を持って演奏される
4曲めは、バラードっぽく少しテンポがゆったりとした曲、
そんな曲も力感のある演奏を聴かせるのは、立花のバンドらしくて好感触。
5曲めはブルース。
ここにタイトルの通り、立花の素っ頓狂な高音を中心にした、さまざまな咆哮がのっかってくる。
6曲め、ベースが先導しピアノが絡む出だしのゆったりめなテンポの美しい曲だが、立花のブローが響き渡ることで雰囲気が一変する。
7曲めが、一番オーソドックスに聴かせる4ビートと言えるか。
ここでも立花の軽快なテーマからブリブリいうアドリブが素晴らしい。
8曲め、ドラムの乱打から始まるフリーキーなサウンド。
やはり立花のブローが圧倒的な存在感で圧倒される。
9曲めは、ほっこりするような曲が、中盤から壊れていくような展開。
咽び泣くようなサックス(ここ、ちょっと泣ける)で、一旦曲が終わったあと、片山のサウンドが聞こえてきて、最後は、酒場が〜♪と、歌いながら大団円を迎える。
以上全部で9曲。短いコメントは立花の存在感だけの言及になってしまう。

片山追悼盤ってことで、往時の片山の熱い演奏を想起させるような演奏で、力強く送り出そうという気持ちが現れた演奏を繰り広げる。

最後の曲の展開に心をグッと持ってかれるが、あえてベストは3曲め

"酒屋が閉まる前に" AAS (https://www.amazon.co.jp/dp/B08294T1SF/ )

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