"Bud Powell In The 21st Century" Ethan Iverson

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Ethan Iversonのプロジェクトで、Bud Powellの曲をラージアンサンブルで再現しようというもの。
Ethan IversonというとThe Bad Plusってことになるが、昨年リリースされたThe Bad Plus名義のアルバムには、なんとEthan Iversonが参加していないのでした。
最近の活動を調べてみると、2019年にECMからアルバムが出ていました。(未聴)
本作は、ECMでもなくSunny Sideレーベルからのリリース。

メンツは、フロントにIngrid Jensen、Dayna Stephensを擁した2管クインテットにUmbria Jazz Orchestraを従えたもの。
 Ingrid Jensenの近作は、"Infinitude" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64187749.html )
 Dayna Stephensの近作は、"Light Now" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/475485893.html )
を聴いています。
Ethan Iverson(P)、Ingrid Jensen(Tp)、Dayna Stephens(Ts)、Ben Street(B)、Lewis Nash(Ds)
Umbria Jazz Orchestra

演奏曲はBud Powellゆかりの曲を、そのままだったり、まとめてみたり、とさまざまにアレンジして再構築している感じだが、クレジット上は半分がオリジナルとなっている(1,2,5,7,9,11,13,15)
1.Bud Powell In The 21st Century, Part 1: Chorale
2.Bud Powell In The 21st Century, Part 2: Continuity
3.Celia
4.Tempus Fugit
5.Five Simple Spells: I. Chorale
6.Bouncing with Bud
7.Five simple Spells: II. Waltz
8.Wail
9.Five Simple Spells: III. Chorale
10.Dance of The Infidels
11.Five Simple Spells: IV. Moderato
12.52nd Street Theme
13.Five Simple Spells: V. Ballad
14.I’ll Keep Loving You
15.Nobile Paradiso
16.Un Poco Loco

Bud Powellの晩年の演奏はヨレヨレの演奏と良く揶揄されるが、当初からそうヨレているいんしょうもなく、さらに最近の音楽に親しんでいるとそのヨレ具合が味わいになっているんだと思うが、個人的には実は全然違和感を感じていませんでした。
そういう意味で、ここで聴かれる演奏はBigBandも入ってくることで、譜面通りのきっちりとした演奏になっているわけで、個人的スリコミ上はある意味(前述の通りのヨレ具合の味わいが希薄で、)Bud Powellの演奏の魅力の何割かは削がれているようにも感じられる。
とはいえ、聴き知っているというのを割り引いてもBud Powellの曲のインパクトの強さをあらためて思い知ったというのも間違いのないところ。
テーマが終わってからのソロパートが、BigBandのアンサンブルになだれ込むことが多く、アドリブソロもそのアンサンブルを従えていたり2管掛け合いでのものだったりと、2管それぞれの存在感がちょっと希薄なのが残念か。
テーマの印象が強いってのもあるか。
そんな中ではEthan Iversonのピアノが良い味を出している場面が多い印象。
2曲めのピアノをフィーチャーした曲のインパクトの強さもあると思う。

ベストは15曲めにします。

"Bud Powell In The 21st Century" Ethan Iverson (https://www.amazon.co.jp/dp/B08MMRWN47/ )

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