林栄一 "音の粒"

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コロナ禍で、入手困難だったりそこまで手が回らなかったりでこれまであまり聴けていない邦人ジャズを集中的に聴かせてもらう機会を得ました。
そのため散発的にちょっと古い日本人のジャズの紹介が紛れ込んでいます。

本作は、1996年の池袋"ぺーぱーむーん"でのソロライブを収録したもの。
林さんの当時のリリース状況から、このアルバムの位置づけを類推しようと、デビュー作から本作までの間のリリース状況を調査したところ以下の通り。
1996年に一気にアルバムが増えているので、ここで人気がしっかりと確立されたということがうかがわれる。
 "続 De-Ga-Show" (https://www.amazon.co.jp/dp/B00005ETYP ) 1996
 本作 1997

そんな人気に裏付けられてのソロライブとそのアルバム化だったのでしょう。
メンツはそういうわけで林さん1人です。
林栄一(As)

演奏曲は、"*の粒"と題されたインプロトスタンダードを並べて全部で7曲。
1.時の粒
2.音の粒
3.Donna Lee
4.Circle
5.夢の粒
6.You Don't Know What Love Is
7.星の粒

冒頭2曲は、循環呼吸を駆使して延々と音を吐き出していくような即興。
1曲めはサックスの通常の音域で、2曲めは林特有の高音域を使っての演奏から通常音域に戻っての怒涛の10分超。
聴いているうちになんだか凄いものを体感しているという実感をひしひしと感じてくる。
続いて、テーマから即興から一気に吹き切るDonna Leeが3曲め。
林特有の歪み感のある音でサンバのホイッスルなフレーズを奏でる冒頭からのこれも長丁場の20分超の5曲め。
これも、ちょっと不思議な味わいを見せる。
You Don't Know What Love Isを間にはさんで、パルシブな音を基調とした即興で締め括られる。
スタンダードをチェイサーにして即興を核に置いたライブ実況といった様相で、林の演奏をたっぷりどっぷり楽しむには好適な作品。
ただし、濃厚でハードな演奏なので、体調が良い時にどっぷりと浸るのが吉ではないかと思う。
個人的には、そう頻度高く聴ける感じではないかなぁ。

ベストはラストの7曲めにしましょう

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