"Quartet+" Helen Sung

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Helen Sungもおおよそ出たら買いしているミュージシャンです。
あまり話題にはならない人ですが、これまで年間ベストにはしなくても、いずれも満足度の高い作品を楽しませてもらっています。

過去作の紹介は以下の通り。

本作はカルテットに弦楽4重奏団を加えた構成での作品。
最近、ラップを入れた演奏が増えているのと共に、弦楽器を入れた作品が増えてきている印象があるが、新しい響きをどこに求めるかのひとつの模索先が弦楽器に向いているということなんでしょう。

メンツは以下の通り。
Helen Sung(P)、David Wong(B)、Kendrick Scott(Ds)
John Ellis(Ts:1,5,6,7,8 ,Ss:11,13 ,Fl:2,3,4)
Harlem Quartet
Ilmar Gavilan(Vln)、Melissa White(Vln)、Jaime Amador(Viola)、Felix Umansky(Cello)

演奏曲は、Helen Sungが5曲(3,4,5,11,12)と
Geri Allen(1), Mary Lou Williams(2), Billy Taylor(6), Toshiko Akiyoshi(7), Carla Bley(8)
Marian McPartland(9,10)で全部で12曲に、6曲めのRepriseという構成。
1.Feed The Fire
2.Mary’s Waltz
3.Coquette
4.Elegy For The City
5.Time Loops
6.Intermission: A Grand Night For Swinging
7.Long Yellow Road
8.Wrong Key Donkey
9.Melancholy Mood
10.Kaleidoscope
11.Lament For Kalief Browder
12.Sungbird
13.Reprise: A Grand Night For Swinging

曲の冒頭に弦楽器での演奏をイントロ的に起用する曲調が多く、そんな冒頭だけを聴いているとこれまでの弦楽器をいれたバンドの演奏と大差ない印象。
ところが、本編にはいると、その同じ旋律のままするりとカルテットでの演奏になって、しっかりとジャズな演奏に違和感なく切り替わる。
弦楽器は露払い的な利用だけではなく、本編の演奏のなかでも弦楽器はリフ、コーラス等々普通に違和感なく演奏には絡んでいる。
6曲めでは弦楽器とバンドとの4バースを聴かせる場面まであったりする。
そのシームレスな感じは、これまで自分が聴いてきた似たような構成の楽器編成の中でも際立っていて、このアレンジが見事と言いたいところ。
ドラムがビートを刻むと、雰囲気が変わってジャズな感じが出てくるようなイメージだが、Kendrick Scottのしなやかなドラムの巧みさなんだと思うが、それまでの雰囲気をぶち壊してガラッと変化させるようなことにはなっていないところがこれまた素晴らしい。
2曲めの3拍子のバラード調の曲が、弦楽器が際立ってちょっと雰囲気が変わるほうか。

ベストは5曲め

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