"Masks" 須川崇志 Banksia Trio

2_413.jpg
Banksia Trioの3作めがリリースされました。
自分は行けなかったのですが、2022年12月に武蔵野市であったライブで録音は終わっているような話が出たという噂は聞いてまして、ひそかにリリースを待っていました。
前作までの紹介は以下の通り。"Time Remembered"は2020年の年間ベストに挙げています。

メンツは、不変の3人。
須川崇志(B)、林正樹(P)、石若駿(Ds)

演奏曲は、須川2曲、石若2曲、林1曲のオリジナルに、Paul Motianが3曲に、Nick Drake、菊池プーさんの曲で全部で10曲。
1. Drizzling Rain (Masabumi Kikuchi)
2. MASKS (Takashi Sugawa)
3. Abacus (Paul Motian)
4. Bird Flew By (Nick Drake)
5. Doppio Movimento (Masaki Hayashi)
6. Stefano (Takashi Sugawa)
7. Siciliano (Shun Ishiwaka)
8. Messe 1 (Shun Ishiwaka)
9. I Should Care (Axel Stordahl and Paul Weston)
10. Wonderful One (Paul Motian)

冒頭曲がプーさんで、次の次がPaul Motian でと、スピリチュアル系で内向き加減強めな難易度高めの曲を多めに取り上げ、さらにオリジナル曲の多くも同様の傾向という選曲。
音数を絞って空間の美しさを出すような音作り。
この辺りは、林の好みが出ている印象だが、もともとは須川のバンドであることから、須川の好みも似たような感じなんでしょう。
吉本との"Oxymoron" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64339949.html )もそんな作品だったことを思い起こす。
鋭い感性と、それに充分見合う技量とを備えると、より難易度と自由度とが高い音楽を嗜好したくなり、それがフリーフォームだったり現代音楽風だったりといった風情の曲調を選びやすい所以なんでしょう。(大いに同意できるところ)
ただ、聴く側はそこまでの難易度を求めていないってのもたぶんあって、初作が耳障りの良いサウンドで次作で難易度を上げてきていたと認識しているが、
本作では、4曲めと8曲めから最後までの曲が、聴き馴染みの良い主旋律の曲が入ってくるのはそのバランスをとってきたようなところもありそう。
演奏自体は、各個人の力感がしっかりたっぷりと表現されている演奏の凄みがとんでもないのと、その3者の即興の絡み合いの妙がさらにとんでもないものと感じられ、これこそはこの3人ならではのサウンドってことで相変わらずの満足度の高さでありました。

ベストは4曲めにします。

"Masks" 須川崇志 Banksia Trio (https://www.amazon.co.jp/dp/B0C5JQ6XQB/ )

この記事へのコメント