"Considerando" Ryan Keberle
Ryan Keberleを自blogで検索すると、Maria Schneider Orchestra、Darcy James Argue等々と名だたるラージアンサンブルに名前を連ねていますが、リーダー作は未聴。
それぞれ近作を並べておきます。
"Data Lords" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/477963114.html )
"Infernal Machines" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/481059540.html )
Ryan Keberleのリーダー作の近作は、サンパウロで活動中のピアノトリオとのブラジルをテーマにしたもので、Collectiv Do Brasil と題されたシリーズもの。
初作はミナスの音楽をリスペクトした“Sonhos Da Esquina” (https://www.amazon.co.jp/dp/B09Z1X3LCD/ )(未聴)で、それに続く2作めが本作。
こちらはEdu Loboをリスペクトしたもので、このあとIvan Linsをリスペクトした作品が準備されているようです。
メンツは、トロンボーンのワンホーンカルテット。ピアノトリオはブラジル人のグループですがいずれの人も未聴。
Ryan Keberle(Tb)、Felipe Silveira(P)、Felipe Brisola(B)、Paulinho Vicente(Ds)
演奏曲は、Edu Lobo関連の曲を中心に、Ryan Keberleのオリジナルを2曲加えた全部で10曲。
1. Zanzibar
2. Casa Forte / Canto Triste
3. Considerando
4. Edu
5. Toada
6. Gallop
7. Pra Dizer Adeus
8. Even Now
9. Be
10. Blackbird
元曲を大きく崩してはいなさそうだが、かなりジャズ寄りのアレンジになっていて、ブラジルな雰囲気はかなり削いでいる印象。
そもそも元曲をすべて把握はできていないのが多そうなので、そんなことも含めて新鮮な気分で聴けている感じ。
これではいかんと、よくよく旋律を聴いていると、あぁこれは知ってるかもと思うものもいくつかは存在しているよう。
Ryan Keberle以外はブラジルのミュージシャンではあるが、サウンドとしてはブラジルらしいというよりはよりジャズっぽいサウンドと感じている。
これはたぶん、Paulinho Vicenteのドラムがあからさまに土着的な演奏でなくコンテンポラリな演奏をしているからではないかと邪推している
底辺には、ブラジル特有のリズム感が流れているんだとは思うが、個人的にはそれはそう感じられていないか。
これまではビックハンドの一員でしか聴いていなかったRyan Keberleのトロンボーン。
そんなわけで、これまであまり固有の印象はなかったが、パワー感のあるはっきりとした音色で色気のある演奏をしていて、まさに歌うように奏でている。
これが名だたるバンドのファーストコールミュージシャンの実力かと、あらためて認識した。
アルバムを通して何回も聴いてからこの文章を書いているが、何度聴いても Felipe Silveira のピアノに耳が持ってかれる場面が多かったのが印象的。
程よく美麗、程よくアウトするフレーズ、存在感のある絶妙なリフがセンス良く響いているという感じ。
そんなサウンドが、トロンボーンの、Ryan Keberleの音色はしっかりめではあるが、相対的に角の取れた丸い音色に対して、強過ぎず、柔か過ぎないタッチで奏でられ、音色の親和性が好コンビネーションをみせ、そのバランス具合が良い仕事をしていてるなとつくづく感じさせる。
最後だけブラジルから離れて、Beatlesを選曲しているが、良く知る旋律がホッとさせる部分はあるが、コンセプト的にここで必要だったかは微妙。
ベストは8曲めにしましょう。
"Considerando" Ryan Keberle (https://www.amazon.co.jp/dp/B0C7ZJ9TYM/ )
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