"Sonicwonderland" 上原ひろみ
上原ひろみの新作はトランペットの入ったワンホーンカルテットです。
近作を調べてみると、前作が、弦楽四重奏入りの作品
"Silver Lining Suite" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/484468527.html )
さらにその前がハープとのデュオ
"Live In Montreal" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64291666.html )
どうも上原というとピアノトリオという印象が強いので、あらためて近作がピアノトリオじゃなかったんだ、しかもトリオの前作は2016年と7年も前だったことに、ちょっと驚きを覚えるくらい。
メンツは以下のとおり。
Hadrien Feraudはchick coreaの"Vigil"(https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a62118193.html )とかいくつかのアルバムで聴いている人。
Adam O'Farrillは、自blogを漁ると、Mary Halvorsonのアルバムが出てきました。
"Amaryllis" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/490644617.html )
ドラムのGene Coyeは初聴きのようです。
上原ひろみ(P,Key)、Hadrien Feraud(B)、Gene Coye(Ds)、Adam O'Farrill(Tp)
演奏曲は、すべて上原のオリジナル。
01. Wanted,
02. Sonicwonderland
03. Polaris
04. Go Go
05. Up
06. Reminiscence
07. Trial and error
08. Utopia
09. Bonus stage
10. Reminiscence
アップテンポの曲も、スローな曲もタイトなドラムが主導するタイトなサウンドという印象。
前述のとおり、これまで上原の管楽器の入ったアルバムはかなったと記憶しているが、本作ではAdam O'Farrillのトランペットが全面的にフィーチャー、前面の大半を担っていることで、上原のアルバムとしては印象がかなり変わってきている。
このトランペットによる朗々としたサウンドが多くの場面でサウンドの印象。当然だがこれが支配的。
上原はソロはもちろんしっかりがっつり聴かせるが、バッキングに徹している場面も相応にあって、これまでのトリオ作とは大きく立ち位置も印象も変わってきている。
もっともBlue Giantはサックス入りだったが、あれは役としての演奏なので本来とは違うはず。
とはいえ 2曲め前半の電子音でのソロはとか、5曲めのアップテンポの曲でのアコピでのソロとか、かなり攻めた演奏を聴かせる場面もある。
ドラムがタイト、ベースがテクニカル系、トランペットがエモーショナルな演奏でバランスが取れているような感じで、上原のピアノは、ちょうどその中間でちょっとタイト寄りと言った立ち位置になっている感じか。
冒頭からタイト、タイトと書きまくっているが、これまでの上原のアルバムの中では相当エモーショナルな演奏であるのは事実。
後半はよりメロディアスな曲が増えてきて、味わいのある良い演奏が充分素晴らしいが、上原らしく弾き倒すような演奏の頻度はグッと落ちてくる。
その最たるものが、6曲めのボーカル入りのトラックで、このメローなサウンドは上原のアルバムであることを考えると相当異色。
さらに9曲めは 2ビートのラグタイム風と、上原らしからぬサウンドが並ぶのはアルバムとしても異色作と言ってしまって良いのでしょう。
ベストは4曲めにします。
"Sonicwonderland" 上原ひろみ (https://www.amazon.co.jp/dp/B0CB9T7H13/ )
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