"Gentle November" 武田和命

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武田和命の名前は、日本のジャズ史のような本などを読んでいて、いろんなところで名前を見るのでよく覚えている。
これまでの演奏は、第4期山下トリオでの演奏を聴いている。
 イン・ヨーロッパ-1983- (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a63142544.html )
渋谷毅オーケストラの最初のアルバムも未紹介だが聴いている。
武田は1939年生まれで、64年頃から演奏を始めていたようだが、70年代初めにいったん引退状態に陥っていたそう。
伝説にして幻のテナーマンと言われるのは、この頃の音源がほとんど残っていないかららしい。
78年に再発見され、本作をもって再デビューということになり、その後の晩年にかけての音源は前述のとおり記録が残っている。
そして、89年に食道がんで他界する。
本作は1991年に新星堂のジャズレーベルである、オーマガトキジャズ (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a61788462.html )にて、現NoTrunksの村上店長が発掘再発してえらく売れたそうだ。

メンツは、泣く子も黙るといった面々が並んでいる。
が実は、国仲さんのベースが入ったアルバムって聴いてなかったりします(恥)
武田和命(Ts)、山下洋輔(P)、国仲勝男(B)、森山威男(Ds)

演奏曲は、レコードのA面にあたる4曲がJohn Coltraneゆかり4曲、B面4曲が武田和命のオリジナル
1.Soul Trane
2.Thema For Earney
3.Aisha
4.It's Easy To Remember
5.Once I Talked
6.Our Days
7.Little Dream
8.Gentle November

冒頭から、文句なしに極上のバラードが聴こえてくる。
武田の程よく音を揺らしたサックスがこの上なく心地良い。
ピアノが山下洋輔だが、ここではフリー要素皆無の、優しくも美しいバッキングです武田のサックスの後ろ盾を担う。
ドラムの森山も同様にらしくない抑制の良く効いた演奏で武田のサックスのバックアップに徹する。
そう、山下も森山も我を殺して、完全に武田の演奏をサポートする側に徹した演奏をひたすらに繰り広げられる。
もちろん国仲もだが、自分が過去にほとんど聴いていないので、偉そうなことが言えない。
このアルバムのことを調査するのにいろいろ検索していたら、「武田のソロアルバムだ」と書いてあったり、「コルトレーンのバラッドの和製版」だと書いてあったりしたが、いずれも言い得て妙と大いに納得。
前述の通り、有名曲とオリジナルが混在するが、いずれもしっとりとした良い曲で通しで聴いていても全然違和感はない。

ベストは、7曲めにしましょう。

"Gentle November" 武田和命 (https://www.amazon.co.jp/dp/B09V2BTC6L/ )

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