"Brexit Music" Baptiste Trotignon
Baptiste Trotignonも、ほぼ出たら買いをしているピアニストではあるが、最近はオーケストラとの共演だったり、組曲だけで1枚作っていたりとちょっと凝った作品が続いているという印象。
近作は以下のとおり。
"You've Changed" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/473385880.html )
本作はロック系の名曲をピアノトリオで演奏している作品で、そういう意味ではコンセプチュアルではあるが、これまでのものに比べれば、普通にジャズとして楽しめる要素は多いと思っている。
メンツは以下のとおり、純粋なピアノトリオ
Baptiste Trotignon(P)、Greg Hutchinson(Ds)、Matt Penman(B)
演奏曲は、Beatles, Police, Pink Floyd, Radio Head, Led Zeppelin, Elvis Costello, Rolling Stones, David Bowie, Robert Wyatt, Queenなんて名前が並ぶ。
ただし1つの曲(トラック)のなかに複数の曲が並ぶようなタイトルがいくつかあるのが特筆事項。
1.Drive My Car
2.Message in a Bottle
3.Money
4.Here Comes the Sun-Norwegian Wood
5.Karma Police
6.Misty Mountain Hop - Four Sticks - Whole Lotta Love
7.Almost Blue
8.Mother's Little Helper
9.Interstellar Overdrive
10.Life On Mars?
11.Maryan
12.We Are the Champions
13.Fake Plastic Trees
有名曲をほぼ原曲のまま演奏して、要所で微妙かつ絶妙に音程をずらしてジャズな気配を入れてくるが、この微妙なズレが非常に痒くさせるのだが、この塩梅が心憎い。
タイトなサウンドでインパクトのあるGreg Hutchinsonのドラムが、元曲のロックな雰囲気を感じさせてくれるが、それていながら叩きすぎてはいなくてこれがまた良い感じ。
Matt Penmanのベースがピアノだけでは足りない元曲の旋律を補完するように作用しているアレンジ。
これも良い具合にアレンジされていて、元曲の雰囲気を維持しつつ、サウンドの抑揚の面白さを加えてきているように感じられる。
1曲のなかに複数の元曲が入っているものが多く含まれるが、いずれも概ね違和感なく次の曲に移れるようなつくり。
さらに元曲のテンポにはこだわらずテーマで元曲をしっかり意識させつつジャズなリズム感を優先させるようなアレンジ。
編成はピアノトリオではあるが、ピアノトリオとしては、音の拡がりとか音の多彩さはかなり出してきているのもアレンジの妙なんでしょう。
全体にアレンジの妙が際だっている印象。
以前、Herbie Hancockが"New Standard" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a39014227.html )をリリースし、西山瞳のヘビメタカバー集(https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64818756.html )も記憶に新しいところ。
その他にも、Brad Mehldauがアルバムに数曲はロックの名曲を入れていたりと、この辺りの曲がジャズで普通に演奏されるようになってきているのは、ある意味喜ばしいことだと思う。
徐々に確実にジャズでの採用曲のステージが変わってきているってことなんでしょう。
ベストは1曲めにしましょう。
"Brexit Music" Baptiste Trotignon (https://www.amazon.co.jp/dp/B0CDZV19RL/ )
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