"Incerto" John Zorn

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鬼才John Zornが主催するTzadikレーベルからリリースされたアルバムで、ギター入りのカルテット作。
この4人での演奏はこれまで4枚リリースされていてその全貌は以下のとおり(2024.2調べ)
 "Multiplicities II" (https://www.tzadik.com/index.php?catalog=8399 )2023.4
 "Full Fathom Five" (https://www.tzadik.com/index.php?catalog=9301 )2023.8
 "Homenaje A Remedios Varo" (https://www.tzadik.com/index.php?catalog=9303 )2023.10
今回から4週で1枚づつ紹介していきます。

本作は、サルトル、フロイト、そして「不確定性原理」にインスパイアされた作品で2022年9月にリリースされたもの。

メンツは下記4人で、この数作あとからこのアルバムのタイトルである"Incerto"がユニット名になったよう。
Brian Marsella(P)、Ches Smith(Ds)、Julian Lage(G)、Jorge Roeder(B)

演奏曲は下記11曲で、すべてJohn Zornの作で合っていると思います(未確認)
01. The Future of an Illusion
02. Nausea
03. Totem and Taboo
04. The Black Swan
05. Im Rosigten Licht
06. Cascades
07. Eros and Ananke
08. Sisyphus
09. Ens Causa Sui
10. Nemesis
11. Thanatos

ピアノとギターとがそれぞ離合しながら奏でるフレーズは、抽象的な気配を持っていながらキレよくノリの良い演奏
要所で出てくるフリージャズを意識したフレーズ、違和感を感じるような独特なコード使いが、独特な雰囲気を作り出し、かつ良いアクセントになっている
歪(ひず)み成分のある音はほぼ存在しないが、ある種の歪(ゆが)みのようなものを感じさせるような音風景
ドラムが先導するリズムによる推進力、深いところを漂うような低音を響かせるベース、この両者がしっかりしており、いろいろ方向性はあるが調和の取れた演奏ではあるが、ところどころでさまざまなギミックで破綻しかけるような不調和をみせる
そんな展開がアルバムのテーマをそこはかとなく想起させていると思っているのは気のせいか

ベストというかこのアルバムを代表するのは1曲めかなと思っています

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