"Orchestras" Bill Frisell
Bill Frisellの新作は2つの大所帯バンドとの共演を収めた2枚組。
クラシックのオーケストラであるBrussels Philharmonicと、ジャズオーケストラであるUmbria Jazz Orchestraとの演奏を1枚ずつ収めた2枚組。
ちなみにBill Frisellの近作は、ベースレスの変則カルテットだった
その前作が本作でもメンバーに名を連ねているThomas Morgan, Rudy Roystonとのトリオ作
"Valentine" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/477856636.html )
メンツは、上記"Valentine"のトリオにディスクごとに異なるオーケストラが加わった編成。
Disc1:
Bill Frisell(G)、Thomas Morgan(B)、Rudy Royston(Ds)
Brussels Philharmonic(orch) Alexander Hanson(cond)
Disc2:
Bill Frisell(G)、Thomas Morgan(B)、Rudy Royston(Ds)
Umbria Jazz Orchestra(orch) Manuele Morbidini(direction)
演奏曲はいずれも、Bill Frisellのオリジナルを中心に、Michael Gibbs, Billy Strayhorn, Ron Carter等の作品を交えたもの。
Disc 1
1. Nocturne Vulgaire
2. Lush Life
3. Doom
4. Rag
5. Throughout
6. Electricity
7. Sweet Rain
8. Richter 858, No.7
9. Beautiful Dreamer
Disc 2
1. Lookout for Hope
2. Levees
3. Strange Meeting
4. Doom
5. Electrcity
6. Monica Jane
7. We Shall Overcome
Bill Frisellの近作はアメリカーナに寄ったサウンドでそれまでの幽玄な雰囲気とは変化してきているが、本作ではそれまでの幽玄な雰囲気がそこはかとなく希薄にではあるが残っているように感じているが気のせいか..。
Dics1では、クラシックのオーケストラを起用してはいるがトゥッティのような場面は皆無で、
盛り上げる場面でも同時に鳴らされる音数は制限されているようなアレンジ。
それが空間感をたっぷりと残すことでBill Frisellの音世界を表出することに還元できていると聴いた。
Disc2のジャズオーケストラのほうは、アンサンブルを多用することで音に厚みのあるサウンドに仕立てているようなアレンジで、和声の使い方で独特の怪しさを醸し出すような作風に仕上げている。
個人的意見ではあるがBill Frisellの音の世界観からすると、空間をたっぷりとって音色の拡がりとか色彩の濃さとかを良く表出できているDisc1のほうがより雰囲気が出ているように感じられる。
が、基本的にはBill Frisellのサウンドは少人数で必要最低限の音で仕立て上げるほうが似合っていると思うので、本作はアイデアの拡大、可能性の模索の一環という感じの扱いかなぁというのが個人的感想
ベストはDisc1の2曲め
"Orchestras" Bill Frisell (https://www.amazon.co.jp/dp/B0CVR1P8CM/ )
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