"Who Killed AI?" Kenny Garrett
Kenny Garrettの新作は、2021年の下記作以来。
"Sounds From The Ancestors" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/484856581.html )
このときのアルバムはゲストを含め、多くの人がクレジットされていたが、本作はSvoy というProgrammingの人と2人で作り上げた作品。
Svoy はロシアでクラシックとジャズピアノの英才教育を受けた人で、どうやらご近所さんのよう。
タイトルに”AI”の語が入っているが、この作品はAIで作られたものではないとのこと。
Kenny Garrett(As,Ts,Vo)、Svoy (programming)
演奏曲は有名曲1曲を除いて、すべてKenny GarrettとSvoyの共作で全部で7曲。
1.Ascendence
2.Miles Running Down AI
3.Transcendence
4.Divergence Tu-dah
5.Ladies
6.My Funny Valentine
7.Convergence
ドラムンベースばりの高速の強いリズムを基調としたサウンドで、ビートにあたるアタック音はかなりな強さで、これが全体に支配的。
そこにのっかる伴奏にあたるシンセとかエフェクトとかのサウンドは、ビートと比較してかも知れないが柔和な雰囲気を感じさせるような音作り。
そんなサウンドのうえに、Kenny Garrettのサックスが乗るが、満足度の高いテンションの高い演奏がたっぷりと楽しめる。
場面によっては、強くエフェクトをかけてギターのような音色に化けている箇所も。
曲によりボイスが入るが前面に出てくるような感じではない。(Miles Davisの声音を真似てるとか?)
展開とか全体の雰囲気に、Kenny Garrettが在席していた頃のMiles Davisバンドのサウンドを彷彿とさせるところがあるのはある程度想定できるところだが、さらにPMGのwe live here, Imaginary dayあたりのサウンドイメージを想起させるところがあるのがちょっと意外だった。
が、冷静に考えれば1990年代中頃のサウンドという意味では共通項はあるのかもしれない。
ネット上の解説を読むと、Miles Davis愛に満ちた作品なんて評文があったので、それを前提にすれば、1990年代中頃のサウンドを前面に持ってきたのも理解できるところ。
6曲めに有名曲が出てくるが、これもエレクトリックな強いビートを土台にしたもので、ゆったりとしたテンポでKenny Garrettがテーマを奏でていくからその曲だと判別できるようなテイク。
タイトルの「誰がAIを殺すか?」は、「今後、AIが作り出すサウンドがどんなものか見てやろうじゃないか」みたいな意味合いらしいが..。
ベストは2曲めにしましょう。
"Who Killed AI?" Kenny Garrett (https://www.amazon.co.jp/dp/B0CSW5ST44/ )
この記事へのコメント