"The Old Country: More From The Deer Head Inn" Keith Jarrett
Keith Jarrettの過去音源発掘リリースです。
これまでもちょこちょこと発掘音源はリリースされていますが、直近は 2021年の"Budapest Concert" (https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/479567175.html )だったので、これくらいのペースでリリースするのが、聴く側にとってもちょうどよいのかもしれません。
当の本人は、2018年に脳卒中を起こし麻痺が残っている状況のようですが、たまに演奏の場に顔を出しているような記事も見かけるので、お元気にリハビリをされていると思われます。
本作は、1994年にリリースされた"At The Dear Head Inn" (https://www.amazon.co.jp/dp/B00005FK3H/ )と同時期(1992年9月)に録音されたもので、言ってみればアウトテイク集ということになるのかもしれません。
このアルバムは、メンツはStandardsと少々異なり、ドラムがJack DeJohnetteでなくPaul Motianが入っているところがミソ。
※ちなみに、Standardsの録音年、発売年をここ(https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64464312.html )にまとめてあるので、参考までに..。
Keith Jarrett(P)、Gary Peacock(B)、Paul Motian(Ds)
演奏曲は以下のとおり、おおよそStandardsで取り上げているような曲が並ぶ。
1.Everything I Love
2.I Fall In Love Too Easily
3.Straight No Chaser
4.All of You
5.Someday My Prince Will Come
6.The Old Country
7.Golden Earrings
8.How Long Has This Been Going On
だいぶ音数多めに弾き倒しているような演奏という印象だが、それでも元曲の雰囲気はしっかり残した演奏なので、元の曲の記憶を頼りに聴き進めれば、路頭に迷うことなく演奏を聴き進んでいけるような作風に仕上がっている
このアルバムは、そもそも、Jack DeJohnetteでなくPaul Motianが入っていることがキモで、演奏の抽象度はJack DeJohnetteが叩いているときよりも上がっているという先入観のなかで、"At The Dear Head Inn"の選曲はより高尚さを意識したアレンジとか曲の扱い方をしているテイクを選んでいたような印象。
本作では、そんな高尚なサウンドというよりは、より馴染みやすく聴きやすい演奏をしているテイクを集めているように感じられるか。
そういう意味も含めて、個人的にはこちらに軍配が上がるかなぁというのが本音のところ。
"At The Dear Head Inn"リリース時のキースの音楽表現の方向性が、こっちのテイクでなくあっちのテイクを採用した理由と思われるが、一般的にはここに収められているような演奏が求められていたんじゃないかと思うのだが、はてさて。
ベストは7曲めにしましょう
"The Old Country: More From The Deer Head Inn" Keith Jarrett (https://www.amazon.co.jp/dp/B0DHDB2CRJ/ )
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