David El-Malek "Music From Source"

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David El Malek の新作なのですが、いったい何枚リリースされ何枚輸入され、何枚売れたのか。
秘やかにリリースされ、秘やかに発売が延期され、秘やかに発送され、秘やかに入手困難になっているような気配が漂います。

Nocturneレーベルなので全然名も知らぬレーベルでもないのですが、いまだそんな程度の知名度の人ということなんでしょうか。

メンツは、以下の通りでいろいろな管で6人、鍵盤楽器を配さない構成です。
David El-Malek(ts, ss)、Yoann Loustalot(tp)、Thomas Savy(b-cl, ts)、 Eric Dufay(cor)、Denis Leloup(tb)、Didier Havet(tb, tuba)、
Jules Bikoko Binjami(b)、 Daniel Garcia Bruno(ds,perc)

演奏曲数も多く、どれもが小品的なものであることが伺えます。
1 Les Sept Fils D'hanna
2 Antochus 4
3 Avinu Malkenu Part 1
4 Avinu Malkenu Part 2
5 Solomon's Temple
6 Hitragut
7 Sion
8 Le Livre des Rois
9 Ma Nishtana Part 1
10 Haggadah
11 Ma Nishtana Part 2
12 Nabuchodonosor 2
13 Sissu et Yeroushalaim
14 Kirya Y'fefiya
15 The 2nd temple
16 Dead Sea

演奏は、以前に聴いた作品 "Talking Cure"(https://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a45504375.html)が「結構骨太な印象で」「4beatを中心とした王道ジャズ」などと書いていますが、うって変わって、編成通りに管のアンサンブルを重視した演奏になっていまして、基本は5管のアンサンブル+ベースドラムのベーストラックの上で、El-MalekのSAXが踊りまくるようなスタイルが中心になっています。
速度はあまり速くない中速から中低速程度、明暗度は若干明に振った感じ、頭体度は体寄りって感じでしょうか。
ジャケットの雰囲気からも伺えるように若干中東系の響きを感じさせる部分もあります。

これがですねぇ、なかなか良いんですよ。
これだけ管がいると、ビッグバンドなサウンドを想像すると思うのですが、ビッグバンドとは違う響きになっていまして、これはASがいないことにも起因しているんじゃないかと思います。
それでもってアンサンブルが、ドライブ感もそう強く出ていなくて、tb2本(あるいは、tb+tuba)が低音域で丸い音を奏でていることと、tpはそうキツい音を出していないなんてところからだと思いますがなかなかに重厚な響きを作り出していて、それが心地よい上に聴き応えがあります。
ドラム(時にパーカッション)が演奏にアクセントを加えていまして、これがまた気持ちよいったらありゃしない。

こういうのを目の当たりにさせられると、David El-Malekの音楽家としてのセンスの良さを実感してしまうのでありました。
この後、(残念ながら、)ジャズに留まらないかもしれないですが、大成していくんじゃないかと思ってみたり..


David El-Malek "Music From Source"(http://www.hmv.co.jp/product/detail/2793584)

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