佐藤允彦 "My Wonderful Life"

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この盤の存在は、12/19開催の2009年4回目の新譜試聴会で知りました。
2007年に逝去した富樫雅彦さんが書きためたバラードばかりを集めた演奏集です。
富樫さん、バラードには相当の拘りがあったようで、2002年に演奏活動を止めた後の作曲活動もほとんどバラードが占めていたとか..。
佐藤允彦さんが発起人となって、ゆかりのある名手3人の管楽器奏者とのデュオを通して、富樫さんの名曲を世に知らしめようと言うのが、この盤の主旨のようです。

その集められたゲストが凄い。富樫さんの人徳の成せる技か。メンツは以下の通り。
佐藤允彦(P)、渡辺貞夫(As)、日野皓正(Tp)、峰厚介(Ts)、山下洋輔(P)

各人がとっかえひっかえ1曲ずつ共演しているので、その内訳を書いておきます。
渡辺貞夫   :1,6,9
日野皓正   :2,5,10
峰厚介    :3,7,11,13
佐藤允彦(solo):4,8,12
山下洋輔   :14

演奏曲は、そういうわけで富樫雅彦さん作曲のバラードが13種類となっています。
1 My Wounderful Life
2 Reminisce-'63
3 Memories
4 Waltz Step
5 Everlasting Friendship
6 Where Am I Going ?
7 Dancing In The Dream
8 Sorrowful Days
9 Today's Feeling
10 I'll Sing For My Friends
11 Till We Meet Again
12 Good Night My Friends
13 The Past Is Beautiful After All
14 My Wounderful Life

正直言いまして、渡辺貞夫さんも日野皓正さんも個人的にはあまり相性がよろしくなく、これまで日野さんのアルバムは買ったことないし、渡辺さんのアルバムはいくつか買ったけどあまり好印象を抱けていないのであります。
ありますが、このアルバムは別格でした。両人の演奏がこんなに良いものかとあらためて感じ入った次第であります。

全曲バラードということで、曲(テーマ)の美しさは格別のものがあり、それを名手4人が様々なフォーマットで表現していくと自然にその音楽に引き込まれていきます。
渡辺さんが旋律をいとおしみつつでもさらりと歌い上げる旋律。日野さんがときに朗々とときに訥々と奏でるフレーズ。峰さんがていねいにていねいに旋律を紡ぎ上げていく。そして佐藤さんのソロがやけに寂しく響く。富樫さんの美意識に深く感銘を受けることができるアルバムになっていると思います。

多少重く響く部分もなきにしもあらず(という意味では、渡辺貞夫演奏部が軽く響くので救われますが)なのも事実なので、そう頻繁には聴か(け)ないですが、たまに引っ張り出してくるという聴き方が吉ではないかと思います。

この重さがキツいのか("佐藤允彦plays富樫雅彦"をリリースしている)EWEからのリリースではなく、ジャズアルバムを出したことない「Ratspack Records」というレーベルが(おそらく説得されて)リリースを担っています。
これが吉と出るか凶とでるか。。実は(いろいろな意味で)ちょっと気になるところであります。


が、この重さがキツいのか、すでに中古でも見かけてます。


佐藤允彦 "My Wonderful Life" (http://www.hmv.co.jp/product/detail/3682445)

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