Pat Metheny "Orchestrion"

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Pat Methenyのソロ名義のアルバムです。Pat Methenyのアルバムは"Tokyo Day Trip Live EP"(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a53275120.html)以来の約2年ぶりのリリースとなります。
前評判と、ジャケット写真でお判りの通り、このアルバムは大がかりな生楽器の自動演奏装置により作られています。
詳細は、雑誌インタビューとかYoutubeの映像とか、探せばいろいろあるようなのでそちらを参照ください。

ということで、演奏者は1人だけ。
Pat Metheny(G)

演奏曲は以下の5曲。1曲目が10分超の大作。他は比較すれば中作って感じでしょうかねぇ。
1 Orchestrion
2 Entry Point
3 Expansion
4 Soul Search
5 Spirit Of The Air

Yellow Magic Orchestraが電子楽器を自動演奏することで新しい音楽の可能性を広げましたが、同じ意義に於いて、Pat Methenyは生楽器を自動演奏するという偉業に取り組んだ結果の作品であると言うことでしょう。

ことライブに限っては、当然の如くテープに必要な音を録音しておきそれを再生することで同じ効果を得ることができるのは自明であり(また、(演奏トラブルという)リスクの軽減にもなり)ますが、それをせず現場での自動演奏にこだわる(そうしないとこのプロジェクトの意義が無くなる。)と言う意味に於いて、おそらくPat Methenyの今回のプロジェクトは歴史的に記憶されるプロジェクトであると思います。


こういう意義を考えると、生楽器の自動演奏という実験がアルバムになったということが重要でその音楽の善し悪しはあまりとやかく言わないのが吉な気もしますが、実は音楽的な良さが根底にあるが故に歴史に残るというのが現実でありましょう。
YMOは3人の名士による名曲が俎上に上りましたが、同じようにPMGという人気ユニットの音世界が俎上にのっかったことが重要であると言うことです。

ということで、音楽的にはどっかで聴いたことあるアレンジ、フレーズ、音使い、ハーモニーてんこ盛りの(PMと言うより)PMGサウンドと言う以外に言いようのない音世界が繰り広げられています。

何も事前情報無しで、PM(あるいは、PMG)の新作として聴いても充分満足度の高い演奏を楽しめます。
事前情報をしっかり持って上記自動演奏の意義をしっかり認識した上で聴くと、その音の厚み(聴けば聴くほどいろいろな音が聞こえてくると言っても言い過ぎじゃない気がする。)に驚愕しつつ、それでいてPM(あるいは、PMG)の新作として充分楽しめるでしょう。

巷では賛否両論いろいろ出ている(というのはそれだけの話題性があるということ)ようですが、個人的には一聴も◎、聴き込んでも◎のかなり満足度の高い作品として、楽しませてもらっています。


Pat Metheny "Orchestrion"(http://www.hmv.co.jp/product/detail/3714039)

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