The Bad Plus "Never Stop"

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The Bad Plusの新譜が出ました。2年前の前作"For All I Care"(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a55596270.html)ではVocalを入れちゃったりして、そろそろ終焉か?という雰囲気を漂わせていたのですが..
この2年間特に活動についての情報が伝わってきてませんでしたし、このまま立ち消えても気がつかなかったんじゃないか?とか思っちゃうような状態だったのですが、きっとちゃんと活動していたんでしょうね..。

ということですが、当然メンバー変更なんてことにはなっておらずいつもの3人での布陣となっております。
ゲストもなく潔いことです。
Reid Anderson(b) Ethan Iverson(p) David King(ds)


演奏曲ですが、今回は皆メンバーのオリジナルだけで揃えています。この辺も潔いと感じられるところです。
1 The Radio Tower Has A Beating Heart
2 Never Stop
3 You Are
4 My Friend Metatron
5 People Like You
6 Beryl Loves To Dance
7 Snowball
8 2 P.M.
9 Bill Hickman At Home
10 Super America

演奏ですが、あれ?1stの再発だったのか?と思ってしまうほど、見事にThe Bad Plusの音に戻っているというのが第一印象。
全体としてはとっても大仰な音づくりで、ロックなんだけどプログレじゃないんだけど、壮大で遠大な雰囲気を感じさせる演奏。
ドラムがビートをがっちりと刻む中、ピアノのブロックコード打ち鳴らしの下で、ベースが重く旋律を奏でるというイメージ(実際には、ピアノが旋律の場合も多いのだが)を違わない演奏に、ある種の安心感みたいなものを感じました。(多少、笑っちゃうな要素も含めて)

まったくもって、これぞThe Bad Plusな音楽に終始しておりまして、それを期待している側としては満足してしまう作品に仕上がっています。
とはいえ、5曲目のスローな曲は新機軸か? 全体の雰囲気はThe Bad Plusのまま美しいバラード演奏をしてまして何も進化していないというわけではありません。
これまで、カバー曲が多かったのをオリジナルだけにしているのも、一貫性を維持するという意識の進化の一端という気がしてきました。

ちょうど、前作の録音がEsbjorn Svenssonが亡くなる前後だったんじゃ無いかと思いますが、初期E.S.Tの雰囲気を醸しつつThe Bad Plusのアイデンティティを再認識して、この路線のピアノトリオの音をしっかり継承していくという気概というか意志を感じさせる作品に仕上がっていると言えるんじゃないでしょうか??


The Bad Plus "Never Stop"(http://www.hmv.co.jp/product/detail/3884118)

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