Francesco Cafiso "Portrait In Black And White"

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Francesco Cafisoの2008年のヴィーナス盤の再発を買いました。
これで、ごく初期盤を除いて、概ね買ったかなぁという感じのつもりでいます。
(探すと日本にあまり入ってない盤とかまだまだありそうですが..)
直前に、"4 Out"(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a60142875.html)を買っているのですが、この人の旨さが際立った演奏で、感嘆していたので、安価になったこともあって、あわせて購入した感じです。

メンツは、ドラムレスの2管カルテットという編成です。
Francesco Cafiso(As)、Dino Rubino(Tp)、Giovanni Mazzarino(P)、Nello Toscano(B)

演奏曲は、ヴィーナスらしい、有名曲のオンパレードです。タイトル見ると結構萎える部分もあるのですが演奏でどこまで聴かせてくれるか?が争点ということで..(笑)
1.Woodin' You
2.Night Mist
3.Waltz For Ruth
4.Detour Ahead
5.Wrong Together
6.Sail Away
7.Portrait In Black And White
8.You And The Night And The Music

案の定というか、全体にスロー目な曲が多いのは、タイトル見てわかる通り。
これも案の定ではありますが、有名曲のテーマを忠実になぞるごくごくオーソドクスな構成(テーマ->ソロ->テーマ)の演奏がなされています。

テーマの演奏は、あまり真剣に演っているようには感じられず、やっつけてきにテーマを演奏しました。な感じを受けてます。(変な先入観のせいかもしれないですが..)
が、ソロに入るとそれでもヴィーナスで許されるギリギリのところまでコードとリズムから逸脱して、独自性というか本領を垣間見せてくれています。
"4 Out"でもそうでしたがスローな曲のうまさというのはこの盤でも感じられます。やっぱりこの人の才能は侮れません。
つくづくそれを感じさせてくれます。
特にこの盤ではサブトーンが多用され、アルトなのになかなかに素晴らしいズズーッを聴かせてくれています。
おそらくあえてのドラムレスにしていると思いますが、これは実は成功していると感じてまして、スローな曲が多いこととテーマを崩していないことから、旋律楽器(結果的に、皆旋律楽器なんですが)がリズムを形成し協調するすることで、演奏のドライブ感を表出しつつやかましさを排除しているんじゃないかと思います。

が、1枚を通して聴いていると、お馴染み過ぎる曲のお馴染み過ぎるテーマがしかもほとんど崩さずストレートな演奏で出てきてズッこけるとまでは言いませんが、唖然というか失笑というか、苦笑したくなるようなというか...(^^;;

スローなお馴染みの曲をサブトーンを多用した演奏できかせ(さらに音がよいことが売りになってい)るところが、日本のある種のジャズファンの嗜好を完全に意識したヴィーナスならではの**となっていまして..(笑)

Francesco Cafisoとしては良い稼ぎにはなっているんでしょうけど、その後の活動の糧にいかほどなっているのかとかいろいろ考えちゃうところでもあります。
でも、伊国でもこんな演奏を聴く"ちょいわるオヤジ"への**なんてあったりして(笑)


Francesco Cafiso "Portrait In Black And White"(http://www.hmv.co.jp/product/detail/3928739)

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