Dario Carnovale "Exit For Three"

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Dario Carnovaleはイタリアの若手ピアニストのようです。
この盤は\1000での発売と戦略的価格を打ってきたのをすかさずさらってきた(嘘)次第であります。

2008年4月末の録音なのでちょっと間をおいてのリリースになりますが、イタリアでは発売されていて日本での紹介がこの時期になったってことなんでしょうかね。
立て続けに、ライブ盤"PENSIERI NOTTURNI - LIVE IN S. VITO"(メンツはベースが違う)がリリースされているようですが、こちらは\2000の値付け。
新録のライブ盤を売るためにこっちも合わせて輸入して、客引き用に安価提供・・・
なんて思ったら、ライブの方がデビュー作で、こっちが新作のようですね。ライブ盤は2007年の録音でした。
albore jazzという日本のレーベルが彼と契約して、これで日本での実力と名前の認知度を上げて、ガンガン売りだそうって戦略ってことですね。

ということで、この盤のメンツは以下の通り。
DARIO CARNOVALE(P)、YURI GOLOUBEV(B)、LUCA COLUSSI(Ds)

演奏曲は、11曲がピアニストの作品、2曲がベーシストの作品となっています。
1 GERICO
2 FLORES
3 NO, IT ISN’T
4 AFORISMA
5 EXIT FOR THREE
6 CAFARNAO
7 PRKFV
8 TONY
9 PRAGA SUD
10 PRAGA NORD
11 NAVI
12 EVENTUAL THOUGHT
13 FLORES Rivisted

1曲目、ベースアルコが印象的なオープニング。全体的に、温度感低めの美しい演奏というイメージです。
が、モーダルな前衛性、不協和音、フリーな雰囲気などはほぼ感じられず。
純粋に、欧州系ジャズのピアノトリオとして成立している音楽です。
曲としても、実験的な部分、前衛的な部分は感じられず、テンポもゆっくり目の曲が大半を占めています。

ピアノは、「ステーファノ・ボッラーニ以来の衝撃」と評され、エンリーコ・ラーヴァの秘蔵っ子であると、とっても期待度の高い新人になるわけですが、全体に昨今のイタリア系としてはとても温度感の低いピアノで、北欧系の透徹とした音に、クラシックの素養を感じさせるピアノであります。(でも、ちょっと唸る)
美しいというと得てして女性的な弱さを感じさせる部分があると思うのですが、彼のピアノは厳然たる美しさを感じさせながら弱さは感じさせません。
特に、粉雪が舞うような、もっと言うとそれが朝日に照らされてキラキラ光るようなってほど流麗でありながら実体感を持った幻想を感じさせる即興が素晴らしい。

ベースは、クラシック界からジャズに転向してきたロシア人のようで、大御所とは言わないけど実力ある中堅ベーシストと言うことでゲスト参加しているようです。
北欧系のような温度感の低いピアノトリオには絶品のバッキングを提供するような演奏です。
バックでは低音を効かせたとても安心感のある演奏なのですが、1本調子のウォーキングベースなんてことは一切なく、縦横無尽と言っても良いくらいに自由に旋律を組み立ててピアノを盛り立てる演奏をしています。
ソロになると高音を効かせて、印象的な即興を聴かせるという印象。
このベースだけ追っててもこのアルバム1枚聴けちゃいそうな感じあります。

ドラムの活躍の場は、・・・あまりないような印象ですかねぇ。曲調的にあまりドラムが前面に出てくる場面を作りにくい作品なので致し方のないところです。が、上掲のキラキラ感には一役買っている感じはありますかねぇ..

ピアノトリオ好きなら買って損しないと思います..。が、この記事が表に出る頃には売り切れてるかも..
ということでライブ盤も入手しました。


Dario Carnovale "Exit For Three" (http://www.hmv.co.jp/product/detail/3951113)

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