Benny Lackner "Pilgrim"

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この盤のリリースは2008年なのですが、当時e.s.t.系のエフェクト音が入ったピアノトリオにはまっていた頃に見つけていたのですが、価格面で自身の心の内と折り合いがつかないまま、ウィッシュリストで眠っていたのですが、先日新譜情報(http://www.hmv.co.jp/product/detail/4932456)を見つけたのを機会に、えいやっと購入に踏み切った次第であります。

ということで、あまり前情報のないまま、アルバムの存在だけが頭の片隅に残り続けていたことになります。
メンツは以下の通りのトリオとなりますが、そういうわけで皆知らない人となっています。
Benny Lackner(P)、Derek Nievergelt(B)、Robert Perkins(Ds)

演奏曲は以下の通り。2曲を除いてメンバーのオリジナル(共作含む)のようです。2曲(4,8)はfeistというカナダのシンガーソングライターの曲のようです。
1 Mowgla
2 Pilgrim
3 Beyond
4 Let It Die
5 Brad Plus
6 Blind
7 I Never
8 Lonely Lonely
9 Kw's Nightmare
10 Transkei
11 Emma's Song

1曲目は、見事にBad Plus, E.S.T.系のサウンドで、ちょっと不安感を抱かせる単調系の音で、期待感を持たせてくれます。
あまり高速にならないところで、淡々としたミニマルな雰囲気を持ったリズムの上で、判りやすいメロディのフレーズを重ねているような楽曲。
そこに、薄く効果音的なサウンド(シンセで作る風切音のようなヒューみたいな)が紛れているような感じになるのですが、この塩梅が絶妙でうなります。
多すぎてもイヤミになるし、少ないとやる意味無しになると思うんですが、ちょうど気持ち良い塩梅で抑えているところがさすがだなと感じ入ります。

2曲目も薄いエフェクトの入った1曲目に近いイメージの曲ですが、3曲目以降はエフェクト音がなくなっていると思います。
ただ、アルバムのイメージとして、どの曲も違和感なく溶け込むようになってます。
悪く言えば似たような曲が並んでいる印象になるということですね(笑)

全体のイメージとしては、とても抑制の利いたサウンドということで、温度感は決して高くないのですがリズムが単調で判りやすいことが功を奏してなのか、妙に惹かれる演奏です。
ということで、ピアノは1,2曲目はエフェクトをいれた効果を表出させるためなのか、ソロも曲のイメージを崩さないように音程と音数を制御したようなもので、特に印象的なものではないのかなぁ。。

3曲目以降エフェクトがなくなると、ソロの即興の魅力が浮上してきているような感じですかねぇ・・
曲調に合わせたソロという意味で大きく差はないような感じもするし、温度感の変化もさほど感じられませんがそれでも光るものが見えてきているというか。。

ドラムは、楽曲的にもその傾向がある通りある意味ロック調になるんでしょうね。。堅実にリズムを刻むというところに重点が置かれたような演奏。
が、この単調なリズムこそが、このトリオの要なんだろうなと思わせるところはあります。
ベースがちょっと堅めのサウンドで音数を抑えめにしているのも、このトリオの特徴を作っているんでしょう。

feistという人の楽曲を2曲入れていますが、原曲の発表年を見ると、このアルバムがリリースされた頃に流行っていた曲のようなので、きっとBenny Lacknerが気に入っている音楽家なんじゃないかと思います。
この2曲とも、、ほぼ原曲から大きく崩してはいないようなので、全体的にも作曲した楽曲を大きく崩さない演奏をしていると思います。他はオリジナルだからどっちでも良いとも言えるが..

ベストは、楽曲の良さも相まって4曲目としておきましょう。


Benny Lackner "Pilgrim"(http://www.hmv.co.jp/product/detail/2786848)

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