FLY "Year Of The Snake"

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FLY名義での3枚目のアルバムになると思います。
これまでの2枚は以下の通り。
 "FLY"(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a31402412.html)
 "Sky & Country"(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a57778364.html)
個人的には、当初あまりピンとこなかった演奏ではあるのですが、さりとて買わないわけにはいかないアルバムでもあります。今回もECMからのリリースとなっています。
前作録音(2008年夏)の直後(同秋)にMark Turnerは指に大怪我をしていたので、今作で怪我の前後の演奏を同じメンツで聴き比べられるという。。(あまり意味ないですね)

メンツは不変かつ盤石な以下の3人
Mark Turner(Ts)、Larry Grenadier(B)、Jeff Ballard(Ds)

演奏曲は、3者のいずれかの作品だけでの全12曲。Mark Turner名義と、3者名義が多めの印象です。
3者名義は即興も含まれているんだと思います。
1 The Western Lands I
2 Festival Tune
3 The Western Lands II
4 Brothersister
5 Diorite
6 Kingston
7 Salt and Pepper
8 The Western Lands III
9 Benj
10 Year Of The Snake
11 The Western Lands IV
12 The Western Lands V

演奏ですが、一聴Mark Turnerの良さが際立っているというか、良い演奏だなぁと思える瞬間が随所にあらわれてきます。
ていうか当初Mark Turnerの良さっていまいちピンときていなくて、退屈なサックスだなぁなんて聴いていたころもあったのですが、それがここ数年(数作)から徐々に良いなぁと思える瞬間ってのが出てきまして、近作でもそれがあきらかに前に進んでいるというのが実際のところで、これが、彼が上手くなっているのか自分の耳が彼の演奏に寄り添ってきたのかよくわからないのですが、個人的には良い兆候だと思っています。
本作でも、確実ににじり寄っているところはうれしい限りです。

内容的には、大筋でこれまでと同様の傾向と言って良いと思います。
が、ちょっとスピリチュアルな雰囲気を醸した曲調が多めで、前作で多めと書いてある疾走感ある曲は若干少なめでしょうか..。
Larry GrenadierとJeff Ballardがしなやかでありながら若干ハードめなリズムを叩きだす中をMark Turnerのサックスが即興で音を絡めていくような印象。
SAXトリオというと極めてハードな演奏を想起するところですが、相応にハードだと思うんですが表面的にはしなやかな感じが前面に出てきています。えーと、ハードな演奏を"ECMでくるんでいる"というような言い方が良いんじゃないかと(笑) 意味不明だったらごめんなさい。
それと、Larry Grenadierのアルコが印象的に響く箇所が多いかなぁという印象を持っていますが、これはスピリチュアル度の高い曲が多めになっていることとも無関係ではないと思います。
が、このアルコとサックスのユニゾンが気持ち良い瞬間がどっかにあったなぁと。。。。という意味ではLarry Grenadierのサウンドの多彩さってのも特筆事項になると思います。
思わず、ピアノの打音のようにベースを聴いている瞬間なんてのもありました。

前作のところで"ドラマー基調で聴くのが幸福を招く秘訣"なんて書いていますが、本作はあまりJeff Ballardに頼らずに聴いていたほうが幸福に近い気がします。3者それぞれに基調にして聴いて面白い部分ってのが存在していると感じています。


ベストは9曲目ですかねぇ。なんだか個人的には耳馴染みのよい曲です。

FLY "Year Of The Snake" (http://www.hmv.co.jp/product/detail/4995502)

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