Fred Hersch "Alive at the Vanguard"

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Fred Herschのアルバムは、自blogだと"live at the Village Vanguard"(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a42519413.html)についてごく初期に書いていますが、他に彼のリーダーアルバムは登場しません。
他は、リーダーではないですが"OTHER ASPECTS"(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a49467471.html)という作品でベースとのデュオを聴いている程度に過ぎません。
ということで、彼の熱心なリスナーとは言えない身ではありますが、なぜかこの盤には何かを感じ購入に及んだということになります。
奇しくも、同じVillage Vanguardでのライブ盤ってところが。。

メンツは以下の通りで1つ前のアルバムと同一のメンバーのようです。ドラムは名前は知ってる人ですが、ベースは記憶にないと思います。
Fred Hersch(P)、John Hebert(B)、Eric McPherson(Ds)

演奏曲は、Fred Herschのオリジナルが7曲に、Parker,coleman,rollins,monkの曲を交えて、2枚で15曲とてんこ盛りな内容になっています。
Disk1
1 Havana
2 Tristesse (for Paul Motian)
3 Segment
4 Lonely Woman /Nardis
5 Dream of Monk
6 Rising, Falling
7 Softly As In A Morning Sunrise
8 Doxy
Disk2
1 Opener (for EMac)
2 I Fall In Love Too Easily
3 Jackalope
4 The Wind /Moon and Sand
5 Sartorial (for Ornette)
6 From This Moment On
7 The Song Is You /Played Twice

聴いていてすぐに感じるのが、実に淀みなく流麗に奏でられるピアノの美しさで、うっとり聴き惚れさせられます。
全体に派手さはありませんが、抑制をきかせて温度感が上がりすぎないよう注意を払いながらの演奏って感じで、それでいて凡庸にならないていねいに紡ぎだされるピアノは、しっかり拝聴するに限ります。
2枚一気聴きでも飽きるようなことはありません。
知りませんでしたが、2008年に昏睡状態にまで陥るような大病をされていて、ピアノを弾けるだけでもうれしいという発言をされているような状況だそうで、そういうピアノを弾けることの重要さ大切さともちろんうれしさ楽しさをも感じさせる演奏をしていることもひしひしと伝わってきます。
ほとんど無駄な音は出していないんじゃないかと言うくらい、すべての音に必然性を感じるというか(言い過ぎ?)

このメンツでは、上述の通り前作(2010)と同じメンツということで、2年以上演奏をともにしていると思いますが、
温度感を違わないベースとドラムも素晴らしい。
早い曲のピアノソロの後ろのドラムは若干やかましく感じる部分もあるが、曲調に合わせていると言えなくもないので及第。
ベースも(音量バランスが秀逸なのかもしれないが)前に出過ぎずのところで、でも全然凡庸ではないフレーズで演奏に華を添えているのも好感触です。

ライブ録音と言うと、普通は多少の粗さがあっても勢いで聴かせる演奏を楽しむのが個人的には常套(というか、それが好き)となるのですが、この作品はライブ盤のノリの良さと、スタジオ録音の完成度の高さと双方兼ね備えているというか、しっかりとしたテクニックと、そのテクニックをしっかり駆使して聴衆を魅了する力を持っていると思います。

この作品は、本人もこれまでのベストと言っているらしいのですが、Fred Herschをあまり聴いていない身にもこの作品の素晴らしさはしっかり体感できてます。すばらしい作品だと思います。
ベストは、1枚目の1曲目になるんじゃないかと思います。


Fred Hersch "Alive at the Vanguard" (http://www.amazon.co.jp/dp/B008KX6PV2/)

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