Giulia Valle Group "Live"

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2011年にリリースされた"Berenice"のライブバージョンということになりまして、2012年6月にバルセロナのジャズクラブでのライブを収録しています。

女性ベーシスとというと、昨今はEsperanza Spaldingに人気が集中している感じがありますが、個人的には、Giulia Valleのほうがてんで前に聴いています。
一般的にも、FSNTで人気盤だったというJason Lidnerの"1, 2, 3, Etc."(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a59539604.html)でベースを弾いているのが彼女なので、実際には以前から聴いている人は多いんだと思います。

過去の彼女のリーダー作紹介は以下の通り。
 "danza imprevista"(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a48191275.html)
 "Enchanted House"(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a59504704.html)
 "Berenice"(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a60331195.html)

メンツは、レギュラーグループと言うことで"Berenice"と同一の面容となります。
Marti Serra(Ts,Ss)、Gorka Benitez(Ts,Fl)、Marco Mezquida(P)、Giulia Valle(B)、David Xirgu(Ds)

演奏曲は、全部彼女のオリジナルで、5曲が"Berenice"からの曲を持ってきています。
1 Intro
2 Drama'N'Bass(aka. Shades Off)
3 Xuxi
4 Libelulas
5 Break A Loop
6 Un Sueno
7 Laberinto
8 Berenice
9 Chacarera Bulgara

ピアノのイントロが美しいオープニングから、おもむろにベースが絡み、サックスが入ってきたところで、一気に引き込まれます。
ライブとして、このイントロは音楽に意識を一気に向けさせる良い効果をもたらしていると思います。

2曲目、5曲目、9曲目が民族音楽(といっても偏ってはいないかな)を彷彿とさせるテンポ早めの楽曲で、ドライブ感のあるリズムの上での2管の絡みが気持ち良く奏でられる楽曲。
4曲目、6曲目、8曲目が美しいテーマを持ったバラード演奏で、6曲目の中間部にあるベースソロはなかなかに秀逸だと思います。
3曲目、7曲目が、ちょっとメカニカルな雰囲気を感じさせるテーマの曲で、エレピを使うことでメカニカル感を増している感じがしてます。

ということで、民族音楽ぽさを醸す曲とスローで美しい曲が多めの演奏となりますが、いずれもしっかりとした聴かせどころを持った演奏で、満足度の高い演奏を楽しめています。

録音がベースのリーダー作というのもあってか、重くタイトでありながら比率的には大きめに録音されその気持ち良いサウンドをたっぷり堪能できます。
ピアノのMarco Mezquidaが思いのほかキレの良いタイトなフレーズを弾いていまして、聞き流し的に聴いていると思わずピアノのフレーズに耳が引き寄せられていて、ハッとすることがよくあります。
David Xirguのドラムは、音数は多いほうだと思うんですが音がタイトなのでドライブ感が凄く合って非常に気持ち良い。
そして、このタイトな3者が集まってのピアノトリオのサウンドが全体の雰囲気を形造っていることがこのバンドの凄い強みになっているんだと思います。
(とはいえ、ピアノトリオで聴くより管入りで聴きたい感じだが..)


全体に、アレンジも凝り過ぎてなく、新しめのサウンドを響かせながらそれでいて頭でっかちの冷ややかな演奏にはなっておらず、温度感は高めの演奏で、ライブとしては聴きどころ満載の全然飽きさせないものになってると感じてます。
ライブとしてはかなり満足度の高いライブを堪能できたんじゃないかと推測できます。
が、スルメ感は少ないですかねぇ..。良い意味で、ライブで聴きたい音楽だなんだと思います。

ベストは、5曲目になると思います。

Giulia Valle Group "Live"(http://www.amazon.co.jp/dp/B00A42R3M2/)

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