Chris Potter "Vertigo"

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Chris Potterの1998年のリーダー作です。この盤はどっかで存在を確認し、メンツを見て興味をそそられ、しばらくウィッシュリストに眠らせておいたら急に値上げして買えなくなって、値が下がった瞬間に思わずポチッとしてしまいました。
(買わせようという戦略にまんまとノせられたのかもしれないと、後から思ってみたり..)


メンツは以下の通り。今となってはなかなか豪華な面々と言える布陣となっております。
Chris Potter(Ts)、Kurt Rosenwinkel(G)、Scott Colley(B)、Billy Drummond(Ds)、JOE LOVANO(Ts:3,6,8)


演奏曲は以下の通り。すべてChris Potterのオリジナルとなります。
1 Shiva
2 Vertigo
3 Long Walk, Short Pier
4 Act III, Scene I
5 Fishy
6 This Will Be
7 Almost Home
8 Modeen's Mood
9 Wake Up

1曲め、ベースのイントロからすぐにChris Potterのテーマ演奏が始まる曲。中後半の盛り上がりが気持ち良い。
2曲めはベースソロが延々続いた後、バスクラとサックスの掛け合い(バスクラがリズム、サックスが主旋律)になるのでこれは多重録音をしているのでしょう。中間のソロはサックスでとっています。
3曲めは、スネア連打から始まる。この曲ではJoe Lovanoがゲストで入り左右チャンネルを分け合ってます。
がテーマ直後のソロはベースからという。。(笑)

1曲めからここまで、ビートはしっかりしているけど、リズムがいまいちつかみきれない曲が続きます。
おそらく、変拍子+コード進行希薄な曲で、さらにオンビート感希薄なBilly Drummondのドラムと、Scott Colleyのベースがリズムを担うことで醸しだされているということなんだと思いますが、格好良いんだけど、いまいちノリをつかみにくいと感じさせる曲が並びます。これって、個人的には、"ノリがつかみにくい"と書いてますが、個性としてはかなり強烈なものを出しているとは思いますし、その後のUndergroundに続く素養になっているんだと思います。

4曲目が3分台の曲の半分をサックスソロで費やし、後半はギター、ピアノ(chris potterの多重録音)との絡みが美しい演奏を聴かせるバラード。
5曲めはまたまたバスクラとサックスの多重録音、6曲めはJoe Lovano入りと(疑似含め)2管での演奏。
6曲めはしっかりした4ビートの演奏となります。

7曲めでスローで聴かせる演奏が入りまして、これが難易度的には一番低いと思います。曲も良いし、リズムがあまり前に出てきてないので、ギターとサックスの掛け合いをたっぷりと楽しむことができます。
そして、朗々と程よく力の抜けた(良い意味です)Chris Potterのサックスが奏でるソロ、その後に続くテンションを合わせたKurt Rosenwinkelのギターソロと、アルバム内の清涼剤的効能を感じさせます。
そして、8曲目が2管でのフリーな要素をたっぷり含んだ楽曲。最後がバラード調の美しい曲で締めくくられます。


Chris Potterは、持ち味の朗々と奏でられる野太い音色と、たいがいの曲でのソロ後半になってからの(彼の真骨頂でもある)ブチ切れ的ブローはいつ聴いても何度聴いても気持ち良いものがあります。
この前の"Unspoken"(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a58898467.html)のところで、最近の演奏よりまっとうに聞こえると書いてますが、この盤ではエモーショナルな部分がちょっと足りないかなという気もしますが、かなり最近の彼の個性に近いものが出てきていると思います。

Kurt Rosenwinkelは、音色が最近とは異なりエフェクト感が希薄なものではありますが、フレーズなんだと思いますが、Kurt Rosenwinkelらしさってのは出てまして、気持ち良いギターサウンドを聴かせてくれています。

約15年前の演奏ということで、今聴くとそれほど突飛だったり過激だったりと言う感じではありませんがリリース当時のインパクトってのは、いかほどのものがあったんですかね。
でも、15年という歳月は1958と1973であると考えると、昨今のジャズの変容の遅さ、停滞感というのを感じてしまうってのが。。

ベストは、1曲目になるんでしょう。


Chris Potter "Vertigo"(http://www.amazon.co.jp/dp/B000009OKZ/)

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