Michael Rodriguez "Reverence"

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Michael Rodriguezというトランペッターは、Yosvany Terry盤(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a61239128.html)
Dayna Stephens盤(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a61220268.html)、Gonzalo Rubalcaba盤(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a52861379.html)と、近作ではIris Ornigの"No Restrictions"(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a61770947.html)で聴いていることになっていますがあまり印象に残っている感じでもなく..
本作は、Criss Crossからのリリースでメンツもなかなか良さそう(個人的趣向からは、取り立ててではないので、直観の影響も大)だったところから購入を決めています。

かくいうメンツは、2管のクインテットとなります。
Michael Rodriguez(Tp,Flh)、Chris Cheek(Ts)、Gerald Clayton(P)、Kiyoshi Kitagawa(B)、Rodney Green(Ds)

演奏曲は、4つのオリジナルと、1つが兄弟の作、他2つで計7曲となります。
1. Small Feats
2. Enchantment
3. Reverence
4. Wishful Thinking
5. Like Joe
6. Portrait Of Jennie
7. You Did

1曲め、4ビート基調の乾系ハードバップな演奏で、4ビートのウォーキングベースと、シンバルレガートが気持ち良い。
その上で、Tp, Tsとソロが気持ち良く朗々としたそろを繰り広げる演奏。
そして..
2曲め、ちょっとモードの影響が見える変拍子の曲で、ベースが奏でるフレーズが気持ち良い。
なんだか不思議なテーマなんだけど、妙に引き込まれる曲。
3曲め、ベースのアルコ弾きに導かれる大らかな雰囲気のイントロから渋い4ビートの演奏に変化する楽曲。
ここでも、ベースのウォーキングが全体をがっちり締めている感じが心地よい。
4曲め、3拍子のバラードということになると思うが、調和のとれた美しさというより、微妙なズレを感じる不思議な雰囲気を醸す曲。
Tsソロはおとなしめだが、その後のTpソロ後半で後ろのドラムが暴れてて格好良い。
5曲め、高速な4ビートハードバップ。勢いに任せて全体で疾走していくさまが気持ち良い。
6曲め、Michael Rodriguezの朗々とした演奏から始まる生粋のバラード演奏。渾身のTpサウンドが沁みます。
7曲め、エンディングにふさわしい、肩の力が抜けるようなちょっとアップテンポでブルージーな4ビート。

Michael Rodriguezのちょっと太めな音色のTpが骨太な曲調とあいまって、演奏の強度を増している印象。
その太めなTpに続く、Chris Cheekがテナーとしては細めになるが、Tpとの太さを合わせているような?
そのフロントの演奏を煽るベースとドラムが、奏でる創造的というかいろいろな意味で強力無比な演奏が全体の強度を上げていることが、大きな勝因だと思います。迫力満点の演奏が楽しめます。

が、この盤の白眉は、Gerald Claytonのピアノで、これまで聴き馴染んできた4ビートジャズでのピアノのバッキングとは違うアプローチをしている場面が多く、なんでここでこういうフレーズを弾くの?ってくらい、曲調にあってるのかあってないのかよく判らないようなフレーズを繰り出してきてくれていますが、これが惹かれる。妙に惹かれる。

全体には、4ビート基調の現代ハードバップと言える演奏になるが、各人の演ってることが妙に尖っている場面がたびたびありまして、そのたびに、むぅ~と唸ってしまうのでありました。

ベストは、1曲めで良いと思います。この演奏が、まっとうでいて一番尖っている気がします。


Michael Rodriguez "Reverence"(http://www.amazon.co.jp/dp/B00AP0K8RU/)

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