Gerald Clayton "Life Forum"

イメージ 1

Gerald Claytonも、新世代ピアニストとして気に留めておくべき存在になってきているとは認識しております。
過去に以下の4枚のアルバムで聴いていることになりますが、文章を眺めると、「白眉はピアノで・・とか、」「ピアノから耳が離れなくなる」とか、不思議な魅力に魅了されているような文章が書かれています。
Kendrick Scott盤(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a58261561.html)、Ambrose Akinmusire盤(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a60531886.html)、
Michael Rodriguez盤(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a61952755.html)、Next Collective盤(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a61939992.html)
ということで、巷で話題にもなっていましたし、ここのところCD買い過ぎなので買おうか悩んでいたのも事実ですが、このジャケの雰囲気にも惹かれるものがあって購入を決めています。

この盤は、彼の3枚目のリーダー作となるようです。前2作がトリオだったようで、管入りでのリーダー作は初となるようです。
ちなみに、1984年生まれとのことなので、ようやく30才になるかという世代となります。

メンツは以下の通り。基本はピアノトリオ構成となりますが、そこに管、歌が入れ替わり入ってくるような形になります。(そのリズムも12曲目では、両人抜け。7曲目ではベース抜けとなります。)
Gerald Clayton(P, Rhodes, Org, Vo)、Joe Sunders(B)、Justin Brown(Ds)
Gretchen Parlato(Vo:1,2,5,8,9,10,12)
Sachal Vasandani(Vo:1,2,6,8,9,10,12)
Ambrose Akinmusire(Tp:1,2,3,8,9)
Logan Rechardson(As:1,2,3,8,9,10)
Dayna Stephens(Ts:1,2,3,6,8,9)
Carl Hancock Rux(spoken word:1)

演奏曲は以下の12曲で、10曲が彼のオリジナル。残りの2曲がCarl Hancock という人との共作となります。
8曲目が約1分の演奏で、他は5分前後の曲が多い構成となります。
01. Life Forum
02. Future Reflection
03. Shadamanthem
04. Sir Third
05. Deep Dry Ocean
06. Dusk Baby
07. Mao Nas Massa
08. Prelude
09. Some Always
10. Like Water
11. Unhidden
12. When an Angel Sheds a Feather

1曲目がクレジットにある通り男性のしゃべりが重なったもので、ここだけ聴くと、Robert Glasperの近作のような流れ(ボーカル中心)のHip Hopに近いボーカルが中心となったアルバムかと想像してしまうようなオープニングとなります。
よく聴くと、ハーモニーとかそこはかとなくMaria Schneiderが使いそうな音使いが見れたりして、さりげなく新しいサウンドを盛り込んでいるところが..(^^)
続く、2曲目が、NY先端ジャズ的なちょっと複雑さを醸した曲で、ここで3管+2ボーカルが入ってきていますが、テーマ部分や、要所で厚いハーモニーを聴かせている程度の起用で、ボーカルも意味のある言葉は発せず楽器的な使い方になってます。ということは、基本の演奏はピアノトリオといっても過言ではないということです。
3曲目は3管がフィーチャされたきれいなアンサンブルが印象的なテーマですが、直後のピアノソロがなかなか秀逸で、さらにその後のAmbrose Akinmusireのソロの後ろでのHeabie Hancockばりのアウト感含め聴く耳はピアノが中心になってしまうのは、しょうがないところか..
印象としては、全体にあまり温度感が高いものではない、それでも後半は熱気を帯びてくるような演奏になってくるところはジャズだなぁと..
4曲目は、純粋にピアノトリオでの演奏。音をちりばめたような印象を持たせるもの。
5、6曲目がボーカルフィーチャの曲となりますが、Gretchen Parlatoの5曲目がスキャット調の軽い起用なのに対し、6曲目のSachal Vasandaniはしっかり歌詞を歌う起用になっている。けど雰囲気は前者のほうに軍配を挙げるかなぁ(笑)
7曲目は、ドラムとピアノのデュオでパーカッシブな音が小気味良い演奏。
この後も、雰囲気を大きく違わないところで、曲毎にフィーチャする人を変えて多彩な演奏が繰り広げられます。

全体に、センスの良い演奏という印象が強く、この辺のスタイリッシュな感じが、Robert Glasperの影響を感じさせる現代のNYジャズの先端ということなんでしょう。

12曲目が、雰囲気たっぷりの男女デュオのバラードな演奏なんですが、それが終わった後に、カルテットでの小気味よいスウィング感たっぷりな演奏がありまして、これもセンス良さをうかがわせるところであります。

ベストは、9曲目になると思います。前座(8曲目)を従えた格好良い演奏です。


Gerald Clayton "Life Forum"(http://www.amazon.co.jp/dp/B00BCMT2MW/)

この記事へのコメント