ものんくる "南へ"

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ものんくるは、菊地さんがプロデュースしたメジャーデビュー作を買って、演奏(というかアレンジ)を面白がって聴いてたんですが、2013年12月の国立パワージャズで、生ものんくるを経験してから、ボーカルの吉田沙良さんが妙に印象深くて、1つ前のマイナー盤を買ってます。
さらにもう1つ前に自主製作盤があるんですが、そちらは入手していません。買っときゃよかったかなぁ...

 "飛ぶものたち、這うものたち、歌うものたち"(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a62039921.html)
 "SARA"(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a62448433.html)

前作は、AiraPlaneレーベルからのリリースでしたが、新作はソニー系のヴィレッジミュージック(正確には、菊地さんのレーベルTabooレーベル)からのメジャーリリースです。
メンツは、前作からほぼ不変の下記面々。正確には、サックスの小西さんが増えています。
吉田沙良(Vo)、角田隆太(B)、瀬田創太(P)、西村匠平(Ds)
小林豊美(Fl)、石川広行(Tp)、平山順子(As)、小西遼(As,Ss)、上杉優(Tb)

演奏曲は以下の11曲。1曲(09)が有名曲、1曲(04)が菊地さん作曲。残りが大半が角田さんで、一部共作ありの作詞作曲。5曲目の作詞が吉田沙良さんです。

01. 南へ
02. 或る日のひな菊
03. あなたを想う日
04. EVE NO LUCKY DAYS
05. たらけも
06. 朝露の降りること
07. ぴえろ
08. 水のゆくえ
09. SINGIN' IN THE RAIN
10. 透明な星座をつくる
11. 希望のまち

1曲目がアルバムタイトル曲の”南へ”ですが、この雰囲気(曲調、アレンジ、アンサンブル、歌詞、歌唱...)こそが、ものんくるの魅力を大いにもの語っているんじゃないかと思うくらい。
個人的印象としての”ものんくる”にびったりはまっていて、Maria Schneider調のアレンジも健在で最初からしっかり引き込まれました。角田隆太さん凄いです。

2曲目以降も、アレンジ面で、秀逸な凝ったもの、ベタだけど安心して聴けるもの、メローでファニーなものとかと、木管楽器を効果的に使用したアンサンブルの美しさをたっぷりと楽しませてもらいました。

4曲目が菊地成孔作曲で、これもいかにもな曲で笑えるんですが、でもこの曲はSPANK HAPPYで岩沢さんが歌ったほうが似合いそうな曲調。吉田さんだとアンニュイさがちと足りない気がする。

9曲目が”雨に唄えば”なんですが、これはスローめなテンポで雰囲気たっぷりの歌唱で、この曲の新しい魅力を引き出していると言っても過言ではない内容。
そして11曲目が、悲哀を込めたスローな曲で、こういうので締めくくるんだ。。と、感慨深いものがあります。
このスローな曲での雰囲気ってのは、この盤で前面に出てきた魅力なんだと思います。が、見事なもんです。

その吉田沙良さんの声ですが、女性の優しさを感じさせる部分、女性の強さを感じさせる部分、そして
(アニメの少年の声を女性が演じているのと同じ範疇で)少年ぽさを感じる部分と、表現の幅も広くさまざまな表情の声を聴かせてくれて、これも”ものんくる”を聴く、大きな楽しみの1つになっています。

それにつけても、歌唱力はそうとうなものがあると思います。

ただ、色気は希薄でしょうか。前述のとおり4曲目の菊地作曲で、”キスをした♪”なんて歌ってるんですが、やっぱりなんだか似合わない。
次の”たらけもたらけも♪”のほうが合ってる気がするのは。。。

ベストは、1曲目でしょう。この盤はこれに尽きると思います。


ものんくる "南へ"(http://www.amazon.co.jp/dp/B00M69J338/)

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