Tigran Hamasyan "Mockroot"

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Tigran Hamasyanの2015年の新作です。前作は2013年にリリースされている
 "Shadow Theater"(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a62439927.html)
で、これはえらく話題になっていたのは、記憶に新しいところ。
本作は、そんなタイミングにも見事に合致して、リリース前から話題になっていた盤ということになります。

メンツは以下の通り。2曲目だけ、メンツが異なるのは、前作の残り曲を持ってきているからでしょう。
曲構成的に、ここにはまったと言うことだと思います。
Tigran Hamasyan(P, Vo, Kb)、Sam Minaie(B)、Arthur Hnatek(Ds)
Gayanee Movsisyan(Vo:5)
Areni Agbabian(Vo:2)、Ben Wendel(Sax:2)、Chris Tordini(B:2)、Nate Wood(Ds:2)

演奏曲は、Tigran Hamasyanのオリジナルが10曲に、アルメニアの伝統曲が2曲と言う構成。
01. To Love
02. Song for Melan and Rafik
03. Kars 1
04. Double-Faced
05. The Roads That Brings Me Closer to You
06. Lilac
07. Entertain Me
08. The Apple Orchard in Saghmosavanq
09. Kars 2 (Wounds of the Centuries)
10. To Negate
11. The Grid
12. Out of the Grid

冒頭から、出てくるボイスが中東色をより色濃く感じさせる2分程度の小品でスタート。
2曲目で、流麗なピアノに導かれる、そこからハードな展開へとなだれ込んでいく。
ここでも1曲目に近いボイスが中東色を醸しだすが、これが良いスパイスになっていると言って良いんでしょう。
以降、アルメニアな雰囲気をたっぷりと含んだ曲が、静かな曲、朴訥とした曲、美麗な曲、不安感を煽るような曲と、曲調をさまざまに変えながら表われては消え。。
前作でもそうだったが、独特なアルメニアなフレーズを多用しつつ、欧州的なサウンドテクスチャでまとめあげたような曲調。
これが一貫性を保たせながら多様な表情を見せるわけだが、この構成力が聴きどころ。
ジャズの個人技を楽しむような感じとはちと違う。ちと違うとはいえ、前作より使用している楽器が少ないんだと思うが、サウンド自体はよりシンプルになっており、そう言う意味ではTigran Hamasyanのピアノが良い味出しているのは間違いのないと、しっかり書ける。
でもそこが聴きどころではないと思いますよ。
そして12曲目最後が終わった後に、隠しトラックが入って大団円。

壮大なアルメニアンソングの一大絵巻をみているような気にさせるから、その表現力はかなりのものがあることは間違いないです。
このアルバムも、前作同様曲単位で聴くもんではないと思うのですが、最後の隠しトラックが好きです。


Tigran Hamasyan "Mockroot"(http://www.amazon.co.jp/dp/B00QB4MHWI/)

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