Kendrick Scott Oracle "We Are The Drum"

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Kendrick ScottのOracle名義のアルバムの3枚目ということになるが、1枚目はデビュー作のオールスターキャスト的なものなので、もしかしたらアルバムコンセプトとしてはあまり変わらないのかもしれないが、Oracleというバンドとしては2作目と考えたほうがしっくりする気がする。
そして、2枚目にして名門BlueNoteレーベルからのリリースです。
 "The Source"(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a48091212.html)
 "Conviction"(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a61922065.html)

メンツは、前作と同じ5人に前作と同様にボーカリストをゲストに迎えています。今回のゲストはLizz Wright。
Kendrick Scott(Ds)、Taylor Eigsti(P)、Mike Moreno(G)、John Ellis(Sax,Bcl)、Joe Sanders(B)
Lizz Wright(Vo:3)

演奏曲は、Kendrick Scottが5曲、John Ellisが2曲、Mike Morenoが1曲、5人名義で1曲、他2曲で11曲という構成。
01. We Are The Drum
02. Make Believe
03. This Song In Me feat. Lizz Wright
04. Mantra
05. The Long Shadow
06. Never Catch Me
07. Touched By An Angel (For Maya)
08. Milton
09. Lotus
10. Synchrony
11. Touched By An Angel

1曲めが3.3.2の8拍子とちょっと凝った拍を使った曲で、その後も、サックス、ピアノ、ギター、ベースが、あたかもビッグバンドを聴いているかのようなしっかりと計算されたアンサンブルを聴かせる。
緻密に構築された曲を緻密なアレンジで聴かせる曲多数という印象。

比較的遅めのテンポの曲を、小刻みなドラミングで聴かせるのは、昨今の一つの流行りのスタイルと言えるが、モーダルにクールでありながらあまり黒さを感じさせず、疾走感さえ感じる心地良い曲調でありながら実は複雑な曲をさらりと聴かせるところは、楽器構成は異なるし音色的にもあまり似ているとはいえないが、どことなく
Pat Metheny Groupの演奏をも彷彿とさせるものがある。

全体に、個人技を聴かせるというよりも上述の通り緻密なアンサンブルを聴かせるようなコンセプトで、ソロもあるがそっちを重要視して聴くようなタイプの音楽(これも上述のアンサンブルの妙と含め、Big Bandサウンドのように感じる一因か)ではないと思う。

それでも個人技に魅かれる所はありまして...。
この演奏を聴いて一番魅かれる演奏をしていたのはMike Morenoのギターで、リーダー作は2012年以来出ておらず、参加作も今年になって1枚も聴いていない(出てもいない??)が、しっかり健在であることを誇示する演奏を繰り広げている。
それと、Joe Sandersのベースに、おぉっと思う場面が多数あったことも特筆事項。
この人のベースは堅実に下支えする演奏に良い味があると認識していたが、ここでは派手な演奏はしていないがしっかり主張できるサウンドでソロを披露していて好印象。
とはいえ、露出度ではTaylor Eigstiがたぶん筆頭で、ダイナミックなソロをそこここで披露していて好印象。
と、Oracleのレギュラーメンバーの持ち味を表出させるアレンジと構成もしっかりできていながら、バンドサウンドとしての完成度もかなり高い仕上がりのアルバム。

緻密なアレンジを聴かせるようなスタイルなので当然であるが、Kendrick Scottも曲中ではあまりリーダーであることを主張するような演奏はほぼしておらず、いくつかの曲の冒頭でソロ的な演奏をしているがこれが良くも悪くも結構印象に残る。

3曲めでボーカルが入るが、このLizz Wrightの声音がまたいい味だしているが、ここ(3曲め)で、1曲だけボーカルを入れる意味は、実はよくわかっていない(汗) インターバルにするなら6曲めくらいが妥当だろうと..

ベストは、6曲目でしょう。


Kendrick Scott Oracle "We Are The Drum"(http://www.amazon.co.jp/dp/B0128ZERU8/)

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