挾間美帆 "Time River"

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挾間美帆さんの新作がリリースされました。
前作も相当話題になりましたが、個人的には次作に大いに期待していたので、この盤は万感を排して購入を決めています。
ちなみに前作は2012年の下記。それ以前に、山下洋輔さんと活動していたようですが、そちらは残念ながら未体験です。
 "Journey to Journey"(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a61742419.html)

メンツは以下の通り。Gil Goldstein、Joshua Redmanが参加しているのも特記事項ですが、個人的にはSam Harris(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a62507008.html)を起用しているところに目がいきました。
巷ではまだあまり注目されていませんが個人的にはちょっと注目株だったのでね^^。
と、気になったのは、Maria Schneiderが、4木管,3Tp,3Tbと従来のbigband然に管楽器を厚くしているのに対し、3木管,1Tp,Tbなしで、ホルン、弦楽器入りと、より線の細いサウンド志向になっているように感じます。
Miho Hazama(Cond, P:6,7)、Sam Harris(P:2,5,8)、Alex Brown(P:1,3,4,9)
Gil Goldstein(Acc:3)、Joshua Redman(Ss,Ts:8)
Cam Collins(As,Cl)、Ryoji Ihara(Ts,Ss,Fl)、Andrew Gutauskas(Bs,Bcl)、Matthew Jodrell(Tp,Flh)、Adam Unsworth(French horn)
Joyce Hammann(Vln)、Sara Caswell(Vln)、Lois Martin(Viola)、Meaghan Burke(Cello)
James Shipp(Vib)、Sam Anning(B)、Jake Goldbas(Ds)

演奏曲は以下の9曲。最後の曲がA Perfect Circleのカバーで他は挾間さんのオリジナルになります。
1. The Urban Legend
2. Cityscape
3. Under the Same Moon
4. Dizzy Dizzy Wildflower
5. Alternate universe, was that real?
6. Introduction
7. Fugue
8. Time River
9. Magdalena (song by A Perfect Circle)


音色の柔らかい楽器(木管楽器、ホルン、トロンボーン・・・)を効果的に活用し、アクセントとしてマリンバのコツコツとしたサウンド、アコーディオンの特徴的な音を挟み込んだサウンドが効果的に響く。

大枠としての全体的な手法としては、Pat Metheny(Secret Storyの雰囲気)ももちろん、NYの中堅のアレンジを重視したアルバムを作る面々(Kendrick Scottとか)からの影響もありそうと感じられるアレンジ手法を、Maria Schneider、Gil Evansから継承されるコンテンポラリーなサウンドカラーで彩ったようなスタイル。
とかなり乱暴ですが、書いときます。

前作に比べて、良い意味でいわゆるジャズ色は抜きつつ、よりしっかりと作り込んでいる印象で、巧妙、緻密、絶妙(すべて良い意味)かつ繊細、大胆で、完成度はかなり上がった印象。

ジャズのダイナミズムと、クラシック的なエレガントさを基調として、ファンタジックと言いたいような音世界を作り上げていて聴きごたえ充分。

前作から踏襲している匂いとかも無いことはないのだが、あまり明瞭には感じられず、匂い以上に進化を感じていると言う意味でこれぞ挾間ワールドとは言い難い(実は、"挾間ワールド"を聴きとれていない駄耳の可能性が高い)が、見事なコンテンポラリービッグバンドサウンドを作り上げていると言えるでしょう。

そして最後がカバー曲ですが、元がヘヴィメタバンドだそうで、この後紹介する西山瞳さんの新作もヘヴィメタカバー集なんですよね。最近の流行りのようで..

ベストは3曲目でしょうか。


挾間美帆 "Time River"(http://www.amazon.co.jp/dp/B011CW5IQK/)

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