Opus 5 "Tickle"

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Criss CrossレーベルからだけアルバムをリリースしているOpus 5の4枚目のアルバム。
1枚目のリリースが2011年だったので、結成5年めを迎え、メンバー不変でほぼ毎年1枚のペースでアルバムを出し続けていることになります。
これだけのメンツで、しかもメンバーの入れ替えなしで5年続いているってのは最近にしては珍しいことだと思います。
5人のスケジュールを年1回数日だけ合わせてレコーディングをしてるってことだと思いますが、この5人で演りたいこと、そのコンセプトが合致しているってことでしょうから、良い関係を築いているんでしょう。
自blogを少し漁ると、この5人のうち3~4人が入っているアルバムって結構ありそうでした。

過去の3枚は以下の通り。
 "Introducing"(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a60939658.html)
 "PENTASONIC"(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a61617934.html)
 "Progression"(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a62740781.html)

このメンツでのライブは、画像検索するとjazz terrassaってイベントの写真が出てきました。

そういうことで、メンツは不変の5人。
Seamus Blake(Ts)、Alex Sipiagin(Tp,Flh)、David Kikoski(P)、Boris Kozlov(B)、Donald Edwards(Ds)

演奏曲はすべてメンバーオリジナルで、Seamus Blakeが1曲、Alex Sipiaginが1曲、David Kikoskiが1曲、Boris Kozlovが2曲、Donald Edwardsが2曲という内訳。

01. Silver Pockets (Seamus Blake) 8:25
02. Tickle (Donald Edwards) 9:01
03. New Old Ballad (David Kikoski) 9:34
04. Five Corners (Boris Kozlov) 8:42
05. Equilibrium (Alex Sipiagin) 9:03
06. Crack To The Crevice (Donald Edwards) 7:31
07. Murzake (Boris Kozlov) 7:13

ほぼ4ビートで変拍子はないか? ・・・なんてことはなく、1曲めは7拍と8拍の入れ替わりが多くしかも裏から入る音が多い。
4曲めは15拍と、難易度高めの強調が並ぶ。

が、これまでのアルバムよりその難易度が判りにくい演奏が多めで、本作はより判りやすい演奏を目指している印象。
重苦しい雰囲気に満たされるとか、空間を広く取るようなスタイルでもなく、逆にフリーキーに爆音を振り撒くでなく、さりとて、あまり熱く荒々しい演奏を開陳することもなく。
難曲もあるが、印象としてはハードバップ魂を燃え立たせるような演奏が多めと感じられる。

Seamus BlakeもAlex Sipiaginもいろんな奏法を駆使してよく歌う快調なソロを繰り広げているし、David Kikoskiも創造性豊かな見事なソロを奏でる。
管楽器を前面に出すところではエレピを使用し、ピアノの強さを強調しないバランス的配慮なんかもしてて、しっかりと各人の見せ場も作られる。

もの凄くきれいに色々はまった演奏になっていて完成度の高さを感じさせる。
が、この完成度はジャズ的完成度ではなく、音楽的というか音楽構築的な完成度で、すれたジャズファンには、ちょっと端正に過ぎる印象も。
とはいえ、上品に取っ付きやすい演奏でジャズの魅力をストレートに感じやすい。
それでいて、中堅の実力者達が演奏していてクオリティが高いという、実は奥が深いアルバムなんじゃないかと思います。

ベストは4曲めでしょう。


Opus 5 "Tickle" (http://www.amazon.co.jp/dp/B0143DKJI2/)

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