林正樹 "Pendulum"

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林正樹さんのリーダーアルバムはこれで3枚めの購入。
過去2作はそれぞれサックス、ベースとのデュオ作で、本作もクレジット上5人の名前がありますが実質的には1~3人での演奏で構成され、これまでの延長線上にある作品と言えるでしょう。
過去作は↓
 "El retratador"(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a62617345.html)
 "Double Torus"(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a61724220.html)
これまでのリーダー作も、
この後リリースされた作品(すでに新作が出ている)はトリオ作でした。
 "Firmament"(http://www.amazon.co.jp/dp/B016B0Z5WU/)
ここのところの活動はかなり活発な印象で、時代がこのサウンドに寄り添ってきたってことなんでしょうか。

メンツは以下の通り。上記の通り全員が揃って演奏している曲はありません。個人的にはAntonio Loureiroが入っているのが白眉でありました。
林正樹(P)、Antonio Loureiro(Vib, Vo)、 Joana Queiroz(Cl)、
藤本一馬(G)、徳澤青弦(Cello)、Fumitake Tamura(Electronics)

演奏曲は以下の12曲。すべて林正樹さんのオリジナルです。
01. Flying Leaves
02. Bluegray Road
03. Initiate
04. Kobold
05. Teal
06. Shadowgraph
07. Paisiello St.
08. Ripple
09. Thirteenth Night
10. Butt
11. Jasper
12. Pendulum

第一印象、実に静謐に美しい。
ピアノがベーストラック的に音楽の全体の骨格を形成し、そこにもうギターが静かに旋律を寄り添わせていく1曲め。
2曲めは先導するピアノの単調な旋律の進行に、Antonio Loureiroの声とビブラフォンが静かに絡む。
2曲めのタイトルは青灰色の道で良いと思うが、車輪ではなくソリで進んで行くような情景を想起する。
3曲め以降も、ピアノを中心に他の1つ2つの楽器が絡むような構成の曲が多め。

各曲でほぼ変わらない温度感はもの凄く低く感じられる。
ピアノに絡む別の楽器の方が若干温度感が高めの印象で、その微妙な温度差が程良い緊張感となっていてとても心地良い。

雪に覆われた木立の風景、白く凍った道をそろりそろりと進むソリ、月に照らされ白く青輝く雪景色、なんの動きも見えない湖、それを暖炉の火で暖まった室内から窓越しに眺めている情景と、いずれも無彩色ではあるがしっかりと情景を想像できるような楽曲で埋められている。
北国の冬のさまざまな景色を音楽にしていくとこんな作品になるんだろうなと思わせるような音楽。実に静謐で美しい。

ベストは、8曲めでしょうか。


林正樹 "Pendulum"(http://www.amazon.co.jp/dp/B012SUBR24/)

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