Pete Christlieb "Apogee"
この盤は自身ではとっても珍しいプロデューサ買いってヤツで、Donald Fagen、Walter Beckerがプロデュースをしています。
以前、コメントをいただいた「よーぐるちょ」さんのblogを眺めていて、偶然見つけた記事(http://blogs.yahoo.co.jp/hanhantsts/17187361.html)で、存在を知り(思い出し?)、速攻買いに走ったものです。
Steely Dan関連の書籍はいくつか読んでいるので存在を読んではいたと思いますが、その当時は入手可能性ゼロってことでスルーしていたんでしょう。
今回、知ってすぐに検索したら2014年に国内初として廉価盤でリリースしていて、その売れ残りだったのか若干安価に購入できました。
メンツは、2テナーのクインテット編成。演奏者は、Warne Marsh、Lou Levyの名前は知っているが、たぶんこれまでほぼ未聴。
プロデューサの2人は、演奏者には名を連ねていません。
Pete Christlieb(Ts)、Warne Marsh(Ts)、Lou Levy(P)、Jim Hughart(B)、Nick Ceroli(Ds)
演奏曲は以下の通り、3曲めがプロデューサの作になる曲です。
1. Magna-Tism
2. 317 E. 32nd St.
3. Rapunzel
4. Tenors Of The Time
5. Donna Lee
6. I'm Old Fashioned
7. Lunarcy
8. Love Me
9. How About You
全編4ビート基調の楽曲と、一見オーソドックスなジャズアルバムと見紛うサウンド。
管の紡ぎだすフレーズは、Warne Marsh / Lee Konitz系のクール系をベースにしたイメージで作られている部分が多く若干温度感は低め。
ピアノトリオの作り出すリズムは、ハードバピッシュな典型的4ビートで、温度感はいくらか高め。
このギャップにちょっと目眩を感じるが、さらに大半の曲(全部かもしれない。全部を聴き取れていない可能性大。)に、ちょっとしたギミックが加味され、違和な調和に支配される。
複数管の重合した複雑に絡み合うアンサンブル。
時として、ビッグバンド並みの分厚いサウンドをも引き出してくる。
奇妙にアウトした変な和音を多用した
微妙にズれて演奏される2管のテーマ。
5曲めにいたっては、2管が有名な同じテーマを1小節ずらして演奏している。
ノリの良い曲で、ちょっとヨレた演奏をして、蹴つまずいた演奏を仕込んだもの。
ムードミュージック然とした、ズルズルのフレーズ。
フリーすれすれの結構好き勝手に演奏しているパート。
と、表層的にはまっとうな4ビートジャズのふりをしながら、まったくもって一筋縄ではいかない演奏に仕上げている。
この辺が、ひねくれ者で通っているプロデューサーの本領を発揮しているってところでしょう。
普通に聴いていれば普通に聴けるが、ちょっとでも違和が気になるとその違和に気が引かれ、その違和が魅力になると今度はその違和を面白がって聴くようになっているという変な魅力に満ちた作品だと思います。
ベストは、4曲めでしょう。
Pete Christlieb "Apogee"(http://www.amazon.co.jp/dp/B0000C24K3/)
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