"Blues & Ballads" Brad Mehldau

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Brad Mehldauのレギュラートリオによる5作目の作品。前作は、2012年の"Where Do You Start"ですが、このトリオでの作品がまだ5作目なのはちょっと驚きです。もっと出ているかと思ってました。
念のため、全貌を記しておきます。
 "Day is done"(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a12660457.html)
 "Live"(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a52936081.html)
 "Ode"(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a61271055.html)
 "Where Do You Start"(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a61590097.html)
この前のThe Art of Trio(Larry Grenadier(B), Jorge Rossy(Ds))が1996から2002年("House On Hill"が2002年録音2006年リリース)の6年間で7枚(で合ってると思う)リリースしていて、今のトリオが初作"Day is done"が2005年なので10年以上かけて5枚はやっぱりスローペースと言わざるを得ません。(他に多くのプロジェクトを演ってたので、リーダー作自体は普通に多いが..。)
前作は、2015年の年間ベストにしても良い完成度の4枚組のソロ作
 "10 Years Solo Live"(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a63553927.html)

ということで、4年ぶりのレギュラートリオ作なのでメンツは以下の通り。
Brad Mehldau(P)、Larry Grenadier(B)、Jeff Ballard(Ds)

演奏曲はすべてオリジナルではなくカバー曲。
前作もカバー集だったので、もしかしたらレギュラートリオは、standards対抗のカバー曲演奏トリオにするつもりなのかもしれません。
タイトルに"Blues & Ballads"とあるように、収録曲はブルースとバラードばかりが収められているようで、戦前の曲から2012年に発表された曲まで広く集められています。
Buddy JohnsonのSince I Fell for You、
 Buddy Johnsonは、戦中戦後にビッグバンドを率いてR&B系で人気を博したピアニストで、Since I Fell For Youは1945年の作品。
Cole PorterのI Coucentrate on You、
 I Concentrate on Youは、映画roadway Melody of 1940の主題歌で、 Fred Astaireが歌っていたもの。
Jon BrionのLittle Person、
 Jon Brionは、Los Angelsで活躍中のSSW、Little Personは、2008年の作品。
Charlie ParkerのCheryl、
 Cherylは1949年の作品で、"Bird of Paradise"(https://www.amazon.co.jp/dp/B00004UXBN/)というアルバムに収録。
Jack Strachey, Holt MarvellのThese Foolish Things (Remind Me of You)、
 These Foolish Thingsは1936年のBillie Holidayが歌っていた曲。
BeatlesのAnd I Love Her、Paul McCartneyのMy Valentine、
 And I Love Herは1964年、My Valentineは2012年の作品

タイトルは以下で、で全部で7曲。
01. Since I Fell For You
02. I Concentrate on You
03. Little Person
04. Cheryl
05. These Foolish Things (Remind Me of You)
06. And I Love Her
07. My Valentine

冒頭、ブルースでバラードな演奏をじっくりとブルース感たっぷりに料理するSince I Fell For You。
ラテン調なリズムをゆったりとしたテンポで聴かせるI Concentrate on You。
思い入れたっぷりにバラードをよりバラードらしく奏でていくLittle Person。
Cherylは、ちょっとハネるようなリズムで奏でられるブルース曲。前後のバラードな演奏からは異色な存在。
曲の美しさを髄まで引き出したようにしっとりと聴かせるThese Foolish Things。これもちょっとラテンテイストなリズムを刻んで、元曲よりも微妙に落としたテンポで、ちょっとブルージーに奏でられるAnd I Love Her。
My Valentineは、ピアノの粒立ちのある音をアクセントにテーマを奏で、その流れでベースも粒立ちの良いソロを聴かせる。

深く沈み込むようなLarry Grenadierのベースが、全体のトーンをダークに色付け、Jeff Ballardのダイナミックなドラムが盛り場をつくり、そこここで聴かれるBrad Mehldau節にテンションをあげさせられる。
いずれの曲も、表情豊かにまさに歌い上げるように弾いていく。


タイトルが"Blues & Ballads"とあるが、収録曲はバラードが多めで、ブルースはインターバル的な扱いとそして聴きどころもバラードのほうにあると認識。

ベストは、And I Love Herにヤられるでしょう。

"Blues & Ballads" Brad Mehldau(https://www.amazon.co.jp/dp/B01D5I30X2/)

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