Keith Jarrett "A Multitude of Angels"

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Keith Jarrettのソロは、2014年のツアーからのベストパフォーマンスを集めた"Creation"(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a63213310.html)が近作で、これがKeith Jarrettの最近作でもあります。
本作は、1996年10月にイタリアで行われたソロコンサートからの音源で、時期的にはKeith Jarrettが慢性疲労症候群で長期休養("The Melody At Night, With You"がリリースされるまで2~3年)に入る直前ということになるらしい。
wiki上では、「1996年のイタリアでのコンサート中、ジャレットは激しい疲労感に襲われ・・同年の秋以降の活動予定を全てキャンセル」となっているので、まさにこのコンサートをしている最中に発症していたということになります。
なんとも、恐ろしい時期の音源を出してきたなと思うところであります。
ECMも2500-2503というキリの良い番号を与えてこの音源をリリース、しかもレーベルが録音した音源ではなくKeith Jarrett本人がDATで録音していたものであるところが、この音源への様々な思いが詰まっていると想起させるものであります。
なんて情報の大半は中年音楽狂さんのblogで知って、そんな事情を知ったから買ってきたというのが実際で(恥)、
ちょうど金欠で4枚組の出費はかなり痛かったw

ソロなのでメンツは1人w
Keith Jarrett(P)

演奏曲は以下の通り、大半の即興と一部タイトルのついた曲ということになります。
Disk1 Modena - Teatro Comunale - October 23, 1996
01. Part I
02. Part II
03. Danny Boy

Disk2 Ferrara - Teatro Comunale - October 25, 1996
01. Part I
02. Part II
03. Encore

Disk3 Torino - Teatro Regio - October 28, 1996
01. Part l
02. Part ll

Disk4 Genova - Teatro Carlo Felice - October 30, 1996
01. Part I
02. Part II
03. Encore
04. Over The Rainbow

これまでのソロで、好調な時は、フォーク調のリズムを刻みながらのノリの良い進行か、あるいは、美旋律の極みをいくようなうっとりさせるような演奏のいずれかが披露される可能性が高いと認識しているんですが..。
本作はリズムを暗に感じさせはするがあまり明瞭には弾いてこず、左手控えめに右手での演奏をしている場面が、いくぶん多いような印象を持っている。
これが上記疲労が故かはわからないが、それくらいの差異をかろうじて感じられるくらいで、この演奏は絶頂期と比して遜色を全く感じられない演奏が繰り広げられている。

もっとも、唸り声は絶好調かと思うくらいの声量で聴こえてくるし、左手でしっかりリズムを刻んでいる箇所もあるし、美旋律の極みを感じさせるフレーズもあるし、やっぱり名演の素養はしっかりと持っているのも間違いのないところ。

本当に、病気(慢性疲労症候群)だったのか!?といぶかるくらい。
が、事実その後に長期休養に追い込まれていることを考えると、それでもこれだけの演奏をこなすKeith Jarrettの天才性、というより執念みたいなもの、全部ひっくるめた凄さを感じるものであります。
凄い演奏です。


ベストは、こういうアルバムは決められないので..。

Keith Jarrett "A MULTITUDE OF ANGELS" (https://www.amazon.co.jp/dp/B01LZG46LB/)

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