橋爪亮督 "Incomplete Voices"
ライブ盤が2枚続いたのは、最初のアルバムが好評だったため、同じ公演の残りのテイクもアルバムにしてリリースしたから。
ただし、その2枚めのライブ盤("Side Two")は限定ルート(通販とライブ会場のみ)での販売でした。
"Acoustic Fluid" (http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a61341299.html)
"VISIBLE/INVISIBLE"(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a62341930.html)
"Side Two"(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a62988540.html)
最初のアルバムでは、ピアノの佐藤浩一が3曲参加のゲスト的扱いでしたが、ライブ盤も本作でも完全にレギュラーとして全面参加になってます。個人的には良いニュースです。
というメンツは以下の通り。
橋爪亮督(Ts,Ss)、市野元彦(G)、佐藤浩一(P)、織原良次(B)、橋本学(Ds)
演奏曲はすべて、橋爪亮督オリジナルの全部で8曲。
01. Still
02. One Time Dream
03. Synesthesia
04. Song Unknown
05. Line
06. 初月
07. 4-18
08. July
ピアノによるパルス音のようなフレーズを根底に置き、ピアノ、ベース、ドラムによるドラマチックに伴奏的なリズム。
そこにおもむろにサックスが絡み、ワンフレーズ後からさらにギターが印象的なフレーズを入れてくる展開の1曲め。
後半のいかにも佐藤というソロがまた素晴らしい。
橋爪らしいしっかりと抑制を効かせクールでありながらメラメラと青い炎を感じさせるサウンドはそのままに、印象としてはこれまでの作品より温度感高め、抽象画的な雰囲気希薄でビートも分かりやすい、とっつきの良い作風。
後述とおり中盤では、そういう意味では抽象画的な展開に変化していく。
3曲めの市野のソロとかとっても素晴らしいが、この盤での白眉は佐藤のピアノで、多くの曲で曲の核的な役回りを担い、バッキングでの印象的な節回しもさることながら、其処此処で披露されるソロの素晴らしさ。
登場するたび聴き惚れてるような感じ。
このバンドの美しさの妙は、なんといっても橋爪、市野、佐藤のフロント3者による重合的アンサンブルにあるのは自明で、2者、3者の音の重なり合いがなんとも美しい風景を描き出す。
そういう意味では、このアルバムでは3~5曲めのサウンドテクスチャがバンドの真骨頂とも言えるのだが、曲調としてちょっと重めなので好みはわかれるでしょう。
ということで、ベストは8曲めの強烈美しい曲にします。
橋爪亮督 "Incomplete Voices" (https://www.amazon.co.jp/dp/B06WWD4256/)
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