Paul Bley "Plays Carla Bley"

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Paul Bleyというと、個人的にはblogで紹介している
 "open to love"(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a44695369.html)
に尽きるような印象があって、他にも数枚は所有したり聴いたりしていると思うが、どうにも、先入観ができてしまっているようなところがあります。
ダイジェスト的に聴くには、1/3にNo Trunksで 命日の特集をやってまして、今年は行けませんでしたが、昨年は行って聴いています。

今般、本田珠也率いるICTUS Trioが、Carla Bleyの曲を多く演奏するアルバムをリリースしましたが、そのアルバムの素晴らしさにヤられている身としては、そのオリジネーターと言えそうなところの、Paul Bleyが演奏するCarla Bleyの曲集(https://www.amazon.co.jp/dp/B0763Q2DRL/)と、そのPaul Bleyのピアノ演奏を堪能するためにスタンダード集(https://www.amazon.co.jp/dp/B01HEAFZNU/)とを借りてきて聴いた次第であります。

ことの発端になった作品も紹介しておきます。
 "ICTUS" (http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64398605.html)

本作は、1991年録音、1992年にリリースされたCarla Bley集。レーベルは、SteepleChase。
オリジナルは10曲で、CD化するときに7曲追加され、オリジナルが3曲加わっているよう。

メンツは、以下の通り。
Paul Bley(P)、Marc Johnson(B)、Jeff Williams(Ds)

演奏曲は、タイトルの通りCarla Bleyの曲になります。
上記"ICTUS"では、この中の3曲が披露されています。参考に印(*)を付けておきましょう。
1. Vashkar *
2. Floater
3. Seven
4. Around Again
5. Ida Lupino
6. Turns
7. And Now The Queen *
8. Ictus *
9. Olhos De Gato
10. Donkey

そもそもが、Carla Bleyの曲が、Paul Bleyの演奏の一番良いところを表出するのに好適なものなんでしょう。
曲の雰囲気と、演奏の雰囲気が見事に合致していることがよく感じられる。

Jeff Williamsのシンバルを基調とした演奏が温度感を下げ、全体の雰囲気を透徹なものにしている。

Marc Johnsonも、我慢して音数を必要なだけにとどめているような演奏。
空間が演奏をキリリと締めていることをよく理解しているんだと思う。
その分、ソロではしっかりとした自己主張のある演奏で、うまさを見せつける。

しっかりとしたタッチで弾くときはしっかり弾きき、弾かないときはしっかり引く抑揚をつけたPaul Bleyのピアノ。
演奏自体の温度感もそう低いわけではないとは思うが、それでも、要所で見せる独特なフレーズとか、曲の展開とかが温度感を低く感じさせ、ある種の孤高感を醸し出している。

そういう感覚も、Carla Bleyの曲が故に引き出されているんじゃないかと勘ぐるが。

前述のとおり、このアルバムを聴くきっかけになった、同じCarla Bleyの曲を演奏しているIctus trioの、本田、佐藤、須川の3者の美意識に裏打ちされた演奏も本作を凌駕している部分をも感じさせるから、あのトリオはやっぱり凄い。

ベストは、ベースが格好良い8曲めにしましょう

Paul Bley "Plays Carla Bley"(https://www.amazon.co.jp/dp/B0763Q2DRL/)