林正樹 "Lull"

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林正樹さんのソロ作で、これは図書館で見つけて借りてきたもの。こういうのまで置いてある図書館は貴重です。自分の市ではないんですが..。
過去に聴いているのは、デュオ作等2人以上で演奏しているアルバムばかりで、林正樹ただ1人での演奏のアルバムを聴くのは、これが初めて。
 "Pendulum"(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a63495170.html)
 "El retratador"(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a62617345.html)
 "Double Torus"(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a61724220.html)
HPを眺めると、現在まででリーダー作(共リーダー含む)が13枚出ていて、この時点での最新作は、金子飛鳥さんとのデュオ作。
 "Delicia"(https://www.amazon.co.jp/dp/B072XB114Q/)

自分の守備範囲がいろいろと広がり過ぎているのでとりあえず買って聴こうとはならないが、都度チェックは続けていくことになるんでしょう。

本作は、ソロなのでメンツはシンプルに。
林正樹(P)

演奏曲も、林正樹のオリジナルだけです。
1. Analogy
2. Values
3. Cave
4. Terpsichore
5. Lull
6. Room
7. Elect
8. Fighter
9. Voyage

1曲めは、左手が刻むリズムに乗って右手での美麗なフレーズが映えるアメリカンなテイストをそこはかとなく感じるもで、どことなくキースジャレットの演奏を想起させる。
ゆったり目のテンポで低音2音の反復が延々続くうえでゆったりとしたフレーズが流れていく、サティを聴いているような気分になる3曲め...。
前半は、低音で提示されるリズムに特徴を感じさせる曲が多い印象。
後半は、メロディアスな低音と、メロディアスな高音のコラボレーションを、楽しむような曲が増えてくるか。
柔らかなタッチで鍵に触れるくらいの強さで奏で、さらに音数を少なくしてゆったりとたゆたうような雰囲気を醸し出しす。
"Lull"は"小康"と訳すらしいが、どうにか穏やかな状態を保っている。危うい気配を醸しながらも穏やかな雰囲気を湛えたような演奏というのは、言えているなぁと..。

ピアノの打音の硬質な音色にホールトーンがまとわりついていくような録音で、林の雪国のモノクロームな世界を想起させるサウンドの温度感をより下げていく。
繊細にタッチをコントロールして微妙なニュアンスを引き出してくる林のセンスを遺憾なく発揮した演奏と言えるでしょう。
相変わらず、実に静謐に美しい。

ベストは、6曲めで。

林正樹 "Lull"(https://www.amazon.co.jp/dp/B01LXRGQER/)

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