"Slick!: Live At Oil Can Harry's" Grant Green

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Grant Greenが1975年9月にカナダで行ったライブ音源。冒頭にアナウンスが入るように元はラジオで放送された音源のよう。

https://www.jazzdisco.org/grant-green/discography/ をみると、1971までは多くの音源が残されているのが良く判るが、それ以降はぐっと減っていて、そんな頃の音源と考えると、ちょっと貴重です。
公式の広告文でも、ライブ音源としては生涯最後の記録となっています。

自blogでの他のGrant Greenの作品の紹介は2つあり、うち1つはやっぱり発掘音源でした。
 "Live at Club Mozambique"(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a46883224.html)

メンツは以下の通り。個人的に、おぉぉっって人は、・・・特にいませんです。
Grant Green(G)、Emmanuel Riggns(ele-P)、Ronnie Ware(B)、Greg "Vibrations" Williams(Ds)、Gerald Izzard(Per)

演奏曲は3曲。Charlie Parkerに、How Insensitiveに、メドレーという構成。
01 Now's The Time
02 How Insensitive
03 Medley
  Vulcan Princess (Stanley Clark) / Skin Tight (Marvin Pierce, Clarence Satchell, James Williams) /
  Woman's Gotta Have It (Darryl Carter, Linda Cooke, Bobby Womack) Boogie On Reggae Woman (Stevie Wonder) /
  For the Love of Money (Leon Huff,Anthony Jackson)

ミドルテンポの4ビートではっきりとしたリズム感で奏でられるNow's The Time 。

シンバルを主体として堅実にリズムを刻む場面から、演奏の盛り上がりに応じてテンションを上げていくドラム、終始ウォーキングに徹して演奏の強力な下支えを担うベース、中高音を主体としそれが故にどろりとした粘り感が希薄なキーボード、メリハリのあるパリッとしたキレの良いギターを聴かせるGrant Green。
グルーヴ感というよりスウィング感のある演奏を聴かせる。

しっとりとテーマを奏でるGrant Greenのイントロから始まるボサノバの名曲、How Insensitive。
こんな曲を選ぶこともさることながら、Grant Greenといえばザクザクとソウルフルなノリを創出するギターが持ち味で、そんな演奏ばかりを聴いてきたので、ここで聴けるメロディアスなGrant Greenがとても新鮮に聴ける。
もっとも、後半のソロではグルーブ感溢れる演奏を聴かせているが。

3曲めは、30分超の8ビート曲のメドレーで、ファンクでソウルフルな、Grant Greenのバンドならではの演奏が繰り広げられる。
まさに水を得た魚のように5人がノリの良い演奏を繰り広げる。

ロックテイスト溢れるドラムがビートを刻めば、パーカッションがビートを増強するよう打ち鳴らす。
キーボードがカッティング調のバッキングをしだすとギターがキレキレのソロを繰り広げ、逆にギターがカッティングな演奏をしているとキーボードがグルーヴィなソロを披露すると、グルーヴ感満載のゴキゲンなR&Bサウンドが延々と続くメドレー。

収録曲は3曲と少ないが、テイストの異なる3種の演奏を楽しめ、しかも真骨頂である8ビートは30分以上続くという凄いアルバムであります。

ベストは...決められません..。

"Slick!: Live At Oil Can Harry's" Grant Green (https://www.amazon.co.jp/dp/B07BLGHC4Y/)

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