"Ny Standard" Ari Hoenig

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Ari Hoenigのアルバムは2016年の
 "The Pauper & the Magician"(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a63668236.html)
以来の、自blogでは8枚めの紹介。

メンツは、前作、前々作で演っていた面々を合わせたような感じになっていて、Gilad Hekselman、Orlando Le Flemingは両方のアルバムに入っていた人、Tigran Hamasyanが前々作、Shai Maestroが前作のピアニストと、勝手知ったる面々で構成される。
Tivon Pennicottも前作でのメンバーでした。

ギター、サックスが入ったカルテットに3人のピアニストが客演しているような形態。
Ari Hoenig(Ds)、Tivon Pennicott(Ts)、Gilad Hekselman(G)、Orlando Le Fleming(B)
Tigran Hamasyan(P:2)、Shai Maestro(P:4,6)、Eden Ladin(P:3,5)

演奏曲は、アルバムタイトルが諮詢するように、Miles Davis, John Coltrane, Benny Golson, Sonny Rollins, Thelonious Monk, Wayne Shorterといったジャズメンオリジナルに、Someday My Prince Will Comeと往年のジャズとして演奏される。
ような曲が並ぶ。
1. Boplicity
2. Bessie’s Blues
3. Stablemates
4. Someday My PrinceWill Come
5. Pent Up House
6. In Walked Bud
7. Fee Fi Fo

冒頭のGilad Hekselmanのギターをフロントに据えた演奏の素晴らしさにまずヤられる。
歌心をたっぷりと感じさせながら創造性豊かな演奏を聴かせる。
2曲めで、お得意のメロディ奏法を披露しているが、完全なソロではなく小出しにピアノとの交歓をする程度で、個人的にはこの程度の塩梅がベターじゃないかと思うのだが。
そしてここでのピアノソロがTigran Hamasyanだが、たっぷりと時間を使ってエキサイトな演奏を繰り広げ素晴らしい。
執拗に攻め煽るAri Hoenigのシンバルに、負けじと応戦するShai Maestroのピアノの応酬がスリリングなピアノソロが聴ける4曲め

3人のピアニストをゲスト的扱いにして(とくにTigran Hamasyan、Shai Maestroという名手が入る!)、前面に出している感じで、ソロもたっぷりと時間をかけて聴かせているが、実際のところは、全体を通してGilad Hekselmanの演奏に耳を持ってかれる頻度がどうしても高くなる。

冷静に考えると、この楽器構成だとフロントを一手に担うのはサックスのはずだが..。
そのサックスのTivon Pennicottは、登場頻度が少ないってのもあるが、しっかり主張のある演奏でありながら必要以上に派手な立ち回りを仕掛けてこないのが逆に好印象。

演奏しているすべてが往年のジャズと言える既製曲ということで、曲の基本部分としては、4ビートを基調としたオーソドクスなもので、しかもテーマはしっかり演奏しているが、往年のジャズを聴いているような雰囲気をほとんど感じない、しかり現代のジャズとしての演奏になっているところが凄い。
表層的にはギター(しかも現代ジャズの雄であるGilad Hekselman!!)が入ることで、だいぶ雰囲気は変わるんだろうが、それだけではなくアレンジとか構成とかいろいろ古さを感じさせない工夫を多数しているんじゃないかと推察。

ベストは、1曲めにしましょう。


"Ny Standard" Ari Hoenig(https://www.amazon.co.jp/dp/B07C5K7QDN/)

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