挾間美帆 "Dancer In Nowhere"
毎年1枚以上コンスタントにリーダー作を発表しているだけでなく、アレンジを提供している仕事も多数こなしているようで、そこまで全部のチェックはしていませんが、八面六腑の活躍が続いている。
過去の作品は以下の通り。
"Time River"(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a63486002.html)
"Journey to Journey"(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a61742419.html)
"THE MONK:LIVE AT BIMHUIS"(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a64452187.html)
本作は、自身のオーケストラである「m_unit」での3枚めにあたるが、「m_unit」の構成メンバーがどれだけ固定化されているかは.. 今度確認してみよう
アルバムでは必ず2人のゲストを迎えているようで、本作ではLionel LouekeとNate Woodが客演している。
そんなメンツの全貌は以下の通り。
Miho Hazama(Cond)
Steve Wilson(As, Ss, Fl)、Ryoji Ihara(Ts, Cl, Fl)、Jason Rigby(Ts, Cl)、Andrew Gutauskas(Bcl, Brs)
Jonathan Powell(Tp)、Adam Unsworth(French Horn)
Tomoko Akaboshi(Vln)、Sita Chay(Vln)、Atsuki Yoshida(Viola)、Meaghan Burke(Cello)
James Shipp(Vib)、Billy Test(P)、Sam Anning(B)、Jake Goldbas(Ds)、Kavita Shah(Vo)
Lionel Loueke(G:4)、Nate Wood(Ds:8)
演奏曲は下記8曲。曲も1曲だけ自身のオリジナルでないものを入れているようで、本作ではそれが7曲め。
1 Today, Not Today
2 The Cyclic Number
3 Run
4 Somnambulant
5 Il Paradiso Del Blues
6 Magyar Dance
7 Olympic Fanfare And Theme
8 Dancer In Nowhere
これまでのラージアンサンブルの多くが、木管楽器を主体に、ちょっと変則的な楽器起用で、音色の面白さを出していたとしたら、今作は弦楽器を多く起用することで、新しい音色を出してきているような印象を受ける。
これはインタビュー記事を読むと、録音を別にしてミックス時にサウンドが埋もれないようにした結果らしい。
ドラムがしっかりとリズムを叩き出していたり、4ビート8ビートのリズムを明瞭に出していたりと曲としてのジャズ感は維持。
また、印象的なサウンドは々ジャズっぽさが出やすいサックスを主に起用、そんなジャズっぽい楽器による即興を曲の中心に据えることで、演奏面でもジャズっぽさを維持していて、ここまであえてジャズを主張した意図ってのもちょっと気になるくらい。
短めのフレーズを重合的に繰り返している楽器アンサンブル、期せずして飛び出る美しいリフで聴かせる和音、これらに違和感なく弦楽器が溶け込んでいて、それでいながら音の主張も持ち合わせ管楽器のサウンドのキレの良い音との差異が新しい効果をもたらしていることが感じられる。
弦楽器を積極的に起用しながら、ラージアンサンブルとして、はたまたビッグバンドジャズとしての面白さをしっかりと表現された作品に仕上がっている。
冷静に楽器編成を見てから聴いていると、管楽器は金管楽器がぐっと減っていて金管の鮮烈なサウンドを減らしたことで弦楽器との親和性を考慮しているのかもしれない。
ベストは、タイトル曲の8曲めにしましょう。
挾間美帆 "Dancer In Nowhere"(https://www.amazon.co.jp/dp/B07H5VV3TR/)
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