"Songs Of The Degrees" Yaron Herman

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Yaron Hermanの新作です。
ここ最近は出たら買いしていますが、最初に聴いたのが2008年の作品でとくにこだわりを持って買いを決めていたわけではなかったようです
  "a time for everything"(http://jazz-to-audio.seesaa.net/article/a51245527.html)

前作が2017年、その前が2015年に紹介しているので、ほぼ2年に1回のペースでアルバムをリリースしている

メンツは、ここのところはZiv Ravitzのドラムが不変で、ベースはアルバム毎に変わってきている。
さらに、純トリオでのアルバムも久々で、前作も前々作もゲスト、さらに多少なりともボーカルが入っていたので、直球勝負でどれだけの実力を聴かせるかが気になるところ。
Yaron Herman(P)、Sam Minaie(B)、Ziv Ravitz(Ds)

演奏曲は、1曲共作があるが、すべてYaron Hermanのオリジナル。
01. Our Love
02. Kinship
03. Song of the Degrees
04. Still Awake
05. Upside Down
06. Traveling Light
07. The Hero With a Thousand Faces
08. From the Sun
09. Shadow Walk
10. Crazy Cat
11. Just Being


散発的なピアノのイントロからクラシックテイストを感じさせる演奏につながる1曲め。
ベースとドラムが奏でる淡々としたリズムが無機的な雰囲気を醸すが、それが独特な味わいになっている印象。
2曲めは、そこはかとなく中東的音階を混ぜ込んできて、3曲めは楚々とした美しい旋律をこれでもかと繰り出してくる。

全体的にも、Yaron Hermanの中東色を微妙に混ぜ込みながらひたすら美旋律を追求するようなピアニズムに、Sam Minaie、Ziv Ravitzの繰り出す無機的という表現を使いたくなるような淡々とした、あまり温度感を上げたり抑揚をしっかりつけるような所作をしてこない(それでもわその特有なグルーブ感が気持ち良い)リズムとのコンビネーションに、演奏のおもしろさの真骨頂があるんでしょう。

過去作での自分の文章を読んでいると、e.s.t.、bad plusという名前が頻繁に出てくるが、本作からはそこまでの強い影響力は感じられない。
Yaron Hermanのスタイルからそんな色が抜けてきたのか、はたまたそんな演奏スタイルに自分が慣れてきたか。

いずれにしても、オーソドックスなピアノトリオ編成での正攻法な攻め口でありながら、多彩な表現とYaron Hermanの美意識とが相まった好作品に仕上がっているといえる。

ベストは11曲めでしょう。

"Songs Of The Degrees" Yaron Herman(https://www.amazon.co.jp/dp/B07LD23DL2/)

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